10年後の未来(前編)

下のグラフは、日本の将来推計人口と高齢化率を示しています。今から2025年、そして2055年に向けて、日本の高齢化率はずっと右肩上がりに30%を超え、40%に到達します。高齢化率とは人口における65歳以上の人々の割合ですから、おおまかに言うと、今から10年後には3人にひとり、30年後には2人にひとりが65歳以上の高齢者ということになります。そこから先は、人口が急激に減少し、100年後には日本の人口は今の半分以下になってしまいます。

なぜ2025年と2055年なのかというと、前者はいわゆる団塊の世代が75歳以上になる時代、後者は団塊の世代の子どもたちが75歳以上になる区切りの年代だからです。あれっ?と思われた方もいるかもしれませんが、65歳以上を高齢者と定義しながら、なぜ75歳以上を区切りとしているのでしょうか。その理由は、実際のところは、65歳になっても元気な方は多く、介護が必要な人の割合はそれほど多くはないのですが、75歳を区切りとして、要介護者は劇的に増え始めるからです。

 

厚生労働省から発表された介護給付費の受給者の割合によると、70歳~74歳までの要支援・要介護者の割合は男性が4.5%で女性が4.7%ですが、75歳~80歳になると男性が8.8%、女性が11.9%と倍増し、さらに80歳~84歳になると男性が16.7%、女性が26.3%とはねあがります。ちなみに、85歳~89歳になると、なんと男性は28.8%、女性は46.5%の方が何らかの介護サービスを必要とするようになるのです。もちろん、おひとりお一人で状況は違ってくるのですが、統計的には避けがたい事実でもあります。

 

今の日本の人口は、団塊の世代とその子どもたちの世代が多く、この2つの世代が75歳を迎えることで、介護が必要な高齢者が一気に増えることになります。この2つのエポックメイキングな年はツインピークスと呼ばれたりもします。人口の年代別グラフを見ると、現在の60~70歳、35歳~45歳ぐらいの世代が丘(山)のようになっているという意味です。そのひとつめ山の頂上(ピーク)が75歳に達する2025年が、もうすぐそこまでやってきているのです。

 

それでは、今から10年後、30年後、私たちはどのような問題を抱えているでしょうか?

 

(続く)