4月から始まった「介護職員初任者研修」の短期集中コースは、残すところあと4日。あっという間に終盤へと差し掛かりました。そんな中、とても珍しい出来事が起こりました。
ある受講生の誕生日がちょうどスクーリング中であったため、全員で色紙を書いて、プレゼントすることになったのです。授業終了後、お祝いの拍手の嵐の中、色紙がプレゼントされました。「ここに来てよかった」と涙ぐみながらも言ってくれて、他の受講生さんたちだけではなく、私たちも心から嬉しかったです。介護・福祉の学校をやって良かったと思える瞬間でした。
「介護職員初任者研修」のスクーリング期間はわずか15日間ですが、特に短期集中コースは、毎日顔を付き合わせるうちに、全員が家族のような雰囲気になります。まるでずいぶん昔に知り合ったような間柄になります。そんな短期間で…と怪しむ方もいらっしゃるかもしれませんが、不思議なことに本当です。日曜日クラスのような週1回のクラスでは、じっくり時間をかけて少しずつ仲良くなっていきます。スクーリングが終わっても、お付き合いを続けていく方もいらっしゃいますし、心のどこかでつながっているという感覚があるのです。実際に受講した私が言うのだから間違いありません。
今さらながらに、なぜこのようなことが起こるのか考えてみると、そこには果てしなくフラットな関係があるからだと思います。受講生の年齢は幅広く、今回のクラスも10代の方から60代の方まで。男女比はだいたい半々です。これだけでも多様な人たちが集まってきてくれていることが分かると思いますが、もちろんそれぞれが異なったバックグラウンド(背景)を抱えてやってきます。
でも、そのバックグラウンドが「介護職員初任者研修」のクラスの中では消えるのです。それまでの過去や、現在に置かれている状況など、さまざまなものはほとんど関係がなくなります。過去にしがみつく必要もなく、しがらみなどなく、現在の日常を悲観することもない。今ここにいるという関係だけで、お互いがつながることができる。こういった関係性は、長く生きてきた方ならより分かると思うのですが、人生において滅多にないのです。
こういうコミュニティ空間を経験し、つながりをつくることができるのは、「介護職員初任者研修」の醍醐味のひとつです。私たちスタッフや講師にとってもそれは同じ。こうしたコミュニティや関係性を味わい、さらに深め、少しずつでも広めていくことが私たちの使命なのだ。そう改めて思わされた、ある受講生の誕生日の出来事でした。