湘南ケアカレッジの「介護職員初任者研修」では、実技演習になると、毎回グループ分けをします。なぜかというと、いろいろな人と一緒に練習をすることで、お互いを知って、仲良くなってもらいたいから。何かの縁あって同じクラスに集まったクラスメイトたちですから、できるだけ多くの人たちと接する機会を増やし、仲間を増やしてもらいたいと思います。自分とは違う年齢、性別、価値観の仲間を得ることは、大げさに言うと、今後の人生を彩り豊かにするのです。生徒さんたちをシャフルして、毎朝、新しいメンバーを発表するのですが、まるで小学校の時の席替えみたいで、なぜだかとてもドキドキします。
先週、卒業生が同じ職場で働いている方に付き添って、見学に来てくれました。あらかじめ来てくれると聞いていたので、およそ1年ぶりの再会にドキドキしつつ、楽しみにしていました。教室にいた頃と全くお変わりなく、とても元気そうで、安心しました。今働いているデイサービスがとても楽しい、スタッフ同士がとても仲が良いとのことで、その仲間のひとりを連れて、教室に顔を出してくれたのでした。
懐かしい話をしている中、当時のクラスメイトたちに話は及び、「○○さんたちとは今でもつながっていますよ」と。何かあったときには、LINEで連絡を取り合ったりしているそうです。クラスメイトのお子さまが入院したとき、他のクラスメイトたちとお見舞いに行ったりもしたそうです。「お互いに違う場所で働いているけど、彼、彼女たちも頑張っているのだと思うと、励まされるし、私も頑張らなきゃって自然に思えるんです」と言っていたのが印象的でした。
毎回、グループ分けをしよう、メンバーを変えるべきだという考えは、私が大手の介護スクールにいた頃からずっと持っていました。でも、スタッフにも先生にも負担(手間)が掛かるという理由で、実行に移すことはできずに終わりました。たくさんある教室をひとつの事務局が管理している学校では、(悲しいかな)こんな簡単に見えることができないのです。湘南ケアカレッジが始まる前のミーティングで、グループ分けをすることを私が提案したとき、先生たちも快く応じてくれ、「名簿にあらかじめグループの番号を振っておいてください」というアイデアまで出してもらったときは嬉しかったなあ。
実際に授業がスタートすると、生徒さんたちからも、「まだ○○さんと同じグループになっていないんですけど…」、「最後まで同じグループになれなかったね…」といった声が上がるようになりました。生徒さんたちも、実はいろいろな人たちと一緒に練習したい、話したい、お互いを知りたいと思っていたのです。そんな意見が出るたびに改良を重ね、今ではできるだけ全員が1度は同じグループになれるようになりました。結構難しいんです、このランダムな組み合わせを作るの。それでも、生徒さんたちが皆仲良くなってくれるシーンを想像しながら、研修が始まる前夜にグループ分けの作業をしています。
学校はただ単に、資格を取得するために存在するのではなく、同じ興味や志を持った人々が集い、理解し合い、仲良くなり、つながっていく場でもあります。もちろん、そういったつながりは自然に発生してゆくものでもありますが、意図的にチャンス(機会)を増やすことはできます。学校は教えることだけは教えるけど、あとのことは勝手にしてくれではなく、そういった機会をできる限り提供しようとするのも、学校としての正しい姿勢だと思うのです。生徒さんたちをシャフルしてグループ分けをするのも、湘南ケアカレッジの工夫のひとつです。