先生たちに育てられた

かつてお世話になったM先生から葉書をいただきました。江ノ島から町田に引っ越しをしたお知らせのハガキに対するお返事だと思います。お世話になった先生と言っても、直接に授業を受けたのではなく、先生とスタッフという関係の中で、いろいろなことを教えてもらったということです。私が介護・福祉教育の世界に入ってからずっと、あるときは傍にいて手取り足取り、あるときは遠くに離れて見守ってくれていました。私にとっては第2の母親(?)のような存在であり、今でもこうしてハガキや電話でやり取りさせていただいています。改めて思い返してみると、私は先生たちに育てられたのだと思うのです。

 

私がこの世界に飛び込んだとき、誰よりも親切に教えてくれたのは先生たちでした。教室に行って授業を聴講させてもらい、授業が終わったら先生と話す。介護や福祉にまつわることから他愛ないことまで。介護や福祉について全く知識がなかった私にとって、先生たちの実体験に基づいた話はとても新鮮で、学ぶことが多かったです。膨大な仕事の海に溺れつつも、先生たちの授業を聞き、話をするのは楽しくて仕方ありませんでした。次第に、教室の近くの美味しいトンカツ屋に連れて行ってくれたり、授業が終わった後に一杯飲みに行こうと誘ってもらえるようになりました。

 

先生たちに共通していたのは、ホスピタリティであり、献身さであり、優しさであり、ユーモアでした。当時私は介護にたずさわるような人たちだからと解釈していましたが、それだけではなかったのです。もちろんそういう資質があったからこそ、介護や福祉の世界で先生を務めるほどになったのでしょうが、それ以上に、たくさんの現場でいろいろな利用者の方と接し、仕事をしていく中で、そういった資質がさらに磨かれていったのだと思うのです。私がそれまで生きてきた世界の中では出会えなかったような、魅力的な人たちばかりでした。

 

そんな先生たちの中でも、最も多くの時間を共に過ごしたのがM先生でした。住環境コーディネーター2級講座で教えられる先生がいなくて困っている私を見かねて、「私が勉強して教えるから安心して」と申し出してくれたこともあれば、朝、教室に先生が来ていないといった危機的な状況で(湘南ケアカレッジではそんなことはありませんが)、全てを置いて駆けつけてくれたりもしました。もう感謝という言葉では表現できないぐらい、お世話になり、教えてもらい、助けてもらい、育ててもらったのです。今、私がこうして介護・福祉の学校をやっているのも、M先生のおかげです。

 

もちろん、湘南ケアカレッジの先生たちも魅力的な人ばかりです。昔と違うのは、育てられているという一方的な関係ではなくなり、チームの一員として、共に成長しているという双方向な関係になったことでしょうか。先生たちに教えてもらったこと、一緒にやってきたことが実になり、今はお互いの専門知識を生かしつつ、意見を出し合い、湘南ケアカレッジをより良い学校にしていこうと行動することができるようになりました。昔も今も、素晴らしき先生たちと一緒に仕事ができて幸せですし、誇りに思います。