卒業祝い

先日、41期生の卒業生の集まりに参加してきました。介護職員初任者研修が終わった後の打ち上げには、残念ながら、私たちは参加できないことになっていますが、卒業後の集まりには時間が合えば、顔を出すことに方針転換しました(笑)。やはり卒業生のその後は気になりますし、学校を離れた場で個人として話すことで、学校では知り得なかったその人となりを知ることもできます。そして、何よりも皆さん、とても心の美しい方ばかりなので、単純に一緒に過ごして楽しいからです。


今回の幹事(リーダー)役を担ってくださったKさんは、もともとデイサービスで働いていましたが、認知症の方との接し方や人間関係に難しさを感じ、精神的に参ってしまい、一時は職場を離れる決断をしたそうです。退職届を提出したものの受理されず、なぜか湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修を受けてくるように言われます。そういった経緯で来てくれているので、最初は嫌々というか、全くやる気がない状態でした。そんな中、学校に通っているうちに、次第に周りのクラスメイトと気心が知れるようになり、授業の内容にも興味が湧いてきました。気がつくとクラスの中心になって研修を楽しんでくれて、研修を修了した今は、同じ仕事をしているのに全く違う世界に見えると言ってくださいました。大変なこともあるけど、その中に喜びや嬉しさがある仕事だと。

 

Tさんは特別養護老人ホームで働き始めて2日が経ったそうです。時間に追われる中で、厳しい介護の現場の現実に直面しながらも、利用者さんを愛おしく思ったり、相手のためになるならば出来る限りのことをやってあげたという気持ちを強く持っていて、嬉しく思いました。彼女はとても共感力の強い、気遣いの細やかな女性なので、無理をしてまで現実に合わせる必要はないよと思いつつ、応援したい気持ちになりました。

 

丸坊主のOさんは、地元でお坊さんにならずに、新しく介護の仕事をしようとこちらに出てきたそうです。彼も私と同じように、何の仕事もせずに引きこもっていた時期があったそうで、そういった苦しい時代を乗り越えて、新しい一歩を踏み出そうとしています。その一歩目に選んでくれたのが湘南ケアカレッジであったことが嬉しいです。私の親せきや家系にもお坊さんは多く、彼はどこか他人ではないような、不思議な感じがします(笑)。

 

それ以上に不思議な感じがするのがIさんで、彼女のまとう雰囲気には、(抽象的ですが)独特のオーラがあります。昔は女の子を10人ぐらい率いて飲み屋をやっていたこともあるそうで、皆からママと呼ばれているのも納得です。実は彼女の甥っ子さんが、かつて湘南ケアカレッジに来てくれた生徒さんだそうです。かなり前の卒業生なのですが、まだ10代だったことやとても人懐っこい性格だったこともあり、とてもよく覚えています。まさかあの男の子とIさんがここでつながるとは!

 

Sさんは同じNPO法人で仕事をしている同僚であり、39期生のMさんからの紹介で湘南ケアカレッジに来てくれました。彼はすでに障害者の方々のグループホームで働いていて、夜勤などの話も聞かせてくれました。1軒目と2軒目のお店をはしごする間に、本屋さんに行き、クラスメイトであるIさんが出版された「若年性アルツハイマーの母と生きる」という本を8冊も大人買い(まとめ買い?)してきてくれました。本人を連れて行って、店長さんに「この本の著者なんです」と紹介したそうです。おちゃめですね。1冊、サインをいただいてケアカレ図書館に寄贈してもらいました。ありがとうございます!

 

「若年性アルツハイマーの母と生きる」を書いたIさんは、土曜日はオフということで、実にリラックスして飲んでいました(笑)。彼女を見ていると、日々の大変さなどを微塵も感じさせず、お母さまを介護しながらもこうして自然に生きていくことができるのだと思わされます。最初から無理だとあきらめるでもなく、肩に力を入れ過ぎて抱え込むでもなく、深刻にならずに、楽しみながら意思を貫く。それは彼女のどこかひょうきんで、おちゃめで、真面目な性格ゆえだとも思いますが、同じような境遇にある人々に慕われるのもよく分かりますね。5分おきにトイレに行きたがる利用者の話になったときに、「その人が納得するまでいつまでも何度でも付き合いたい」と言っていたことが印象的でした。