フラッとな関係

先月はいくつかのクラスの同窓会に参加してきました。久しぶりに再会しても、皆さん全く変わっておらず、お互いがフラットな関係で、とても居心地の良い集まりでした。どのクラスも20代から60代までと年齢にも幅があり、しかも男性と女性が半分ずつといった構成でありながら、ひとり1人の間に壁や上下関係が全くなく、まるで旧友たちの集いのよう。クラスを盛り上げるリーダーの存在や個性的なメンバーなど様々な要因はありますが、何よりもこのクラス全員に共通する、自分と異なる考えや生き方を受け入れよう、そして楽しもうという熱い想いがあるのではないかと私は感じました。

 

私たちが大人になるにつれ、私たちが自分と明らかに異なる文化や習慣を持つ人たちと出会うことは少なくなります。私の経験上、中学生までは全く違う生活背景を持っている人たちと友だちになることはあっても、それ以降は、学校から職場に至るまで、自分と同じような人たちと接する機会が増えていきます。そして社会に出ると、どうしても立場というものが存在し、自分より上か下か同じかという関係の中で生きていかなければなりません。年齢も性別も関係なく、全くフラットな関係は子どもだけのものであって、大人になれば、そんな関係があったことすら忘れてしまう人も多いのではないでしょうか。

 

そんな大人たちが湘南ケアカレッジという場所で出会い、15日間(週間)の研修を通して、気がつくと子どもたちのようなフラットな関係を築くことができるのです。「最初は誰とも話をせずに研修を終わろうと思っていた」と打ち明けた方は、今では愛情を込めて“番長”と呼ばれていました(笑)。まさか自分がこんなにも世代を超えた人たちと仲良く、友だちになれるとは、と思っている方も多いのではないでしょうか。私も経験したから分かるのですが、介護職員初任者研修には人と人とを結びつけるマジックのようなものがあると思います。人の優しさや温かさは、世代や性別を軽々と超えていくのですね。

 

卒業生さんたちと素敵な時間を過ごしながらも、いろいろなことを教えてもらいます。学校を選ぶとき、あちこちに電話をしたけど、他校はまるで機械と話しているようだったという話、ちらし寿司をミキサー食として召し上がってもらっている現場の話、ケアカレの先生が着ているポロシャツがほしいという話、ある卒業生はかつてピアニストであった話、職員さんも利用者さんも良い人ばかりだけど人手不足で困っている施設の話、デイサービスの文化祭で人の手形で紅葉をつくった話、認知症の方が不穏になって手をねじられた話、利用者さんと食事をつくるレクに情熱を燃やす奥さまの話、サ高住で毎日どれだけ利用者さんに楽しんでもらえるかを考えている話、などなど。素敵な方々から出てくる話は素敵な話ばかりなのです。

 

 

ケアカレに来てくださったときは18歳だった生徒さんが、20歳の誕生日を迎えました。彼女が介護の仕事を続けていることは素直に嬉しいですし、「これからも介護の仕事は続けていきたい」と語る彼女を尊敬します。彼女のような若い世代の方々がさらに成長し、介護の世界を変えていってもらいたいと願います。