もっと大きな「目的意識」を

どのような仕事をするにしても、大きな「目的意識」を持つことは大事です。たとえ同じ仕事をしていても、働く人それぞれによって目的意識は様々です。そして、目的意識が違うと、仕事のクオリティも違ってくるばかりではなく、最後の到達地点(ゴール)も大きく違ってきます。自分は何のためにこの仕事をしているのかを常に自分に問うだけではなく、ひょっとすると小さくなっていきがちな「目的意識」を大きくしてゆく必要もあります。

 

「目的意識」についての有名なたとえとして、石きり職人の話があります。古代ギリシャの時代に3人の石きり職人がいました。毎日、炎天下の中、ひたすらに石を切り、同じだけの報酬を得ていました。ひとりの旅人が現れ、3人の石きり職人にこう尋ねました。「あなたは、何のために石を切っているのですか?」ひとり目の職人は、「お金をもらうためだ」、ふたり目は、「将来、腕の立つ職人になるためだ」、そして3人目は「これから何百年もの間、町の皆が訪れることになる立派な教会の土台をつくるためだ」と答えました。

 

どの石きり職人が仕事が良くでき、どの職人が将来的に幸せになったのかは分かりませんが、同じ仕事をするにしても、違う「目的意識」を持つことができるという話です。私の経験上、お金をもらうために自分の時間を切り売りしている仕事はつまらなく、自分のためだけに自らを磨くことも必要ですが長続きはしません。おそらく3人目の大きな「目的意識」を持っている状態が仕事を最も楽しく頑張れて、人にも感謝してもらえるのではないでしょうか。すべての働く人が、3人目の石きり職人のような「目的意識」を持って仕事ができる社会をつくることが理想ですね。

 

湘南ケアカレッジの理念は、「世界観が変わる福祉教育を」です。大げさに言うと、湘南ケアカレッジの研修を受ける前と受けた後では、生徒さんたちの見かたや考え方が変わってしまうほどの授業を提供したいということです。これは既存の介護スクールや資格取得のための研修に対するアンチテーゼでもあります。湘南ケアカレッジは、資格を売る学校ではなく、素晴らしい介護・福祉教育を提供することで評価され、存在しうる学校になりたいということです。もう少し平たく言うと、私たちは良い研修(授業の内容から生徒さんへのサポート、学校運営の方法など含む)を行うことに全力を尽くすということです。

 

 

湘南ケアカレッジが立ち上がって以来、「世界観が変わる福祉教育を」という理念の下、同じ目的意識を持って先生方と共にここまでやってきましたが、5年目を迎えた今、そろそろもっと大きな「目的意識」を抱いても良いのではないかと思うようになりました。

 

それはたとえば、湘南ケアカレッジの世界観が変わる福祉教育を通し、町田を中心とした神奈川の地域を住みやすく、安心して老い、幸せに生きることができるようにすること。先生方が「自分たちが介護を必要になったときには、ケアカレの生徒さんに介護をしてもらいたい」と言うところにもヒントがありますね。自分を将来、介護してくれるかもしれない生徒さんを育てるつもりで教える。そうすることで、私たち湘南ケアカレッジは周りの社会を良くすることに少なからず貢献することができるはずです。