「みえるとかみえないとか」

以前に紹介したことのある「目の見えない人は世界をどう見ているのか」(伊藤亜紗著)をきっかけに、絵本作家のヨシタケシンスケさんがストーリーを考え、相談しながらつくった絵本です。「りんごかもしれない」などのヨシタケさんの絵本は、ものの見方や考え方を一度ひっくり返してみると、これまでとは全く違う何かが見えてくるという内容になっていて、大人が読んでも深く楽しむことができます。今回の見える人の世界と見えない人の世界の違いも、見える人には見えない世界があり、見えない人にも見える世界があることを分かりやすく教えてくれています。

主人公のぼくは宇宙飛行士。いろいろな星の調査をしており、やってきたのは後ろにも目がある人たちの星。ぼくが前しか見えないことを不思議がり、不便だとか可哀想だと考えて、気を遣ってくれるのでした。その星にも、生まれつき全部の目が見えない人がいて、その人もまた僕とは世界の感じ方が違っていることを発見します。それぞれの違いによって、その人にしか分からない、その人だけの見え方や感じ方を持っていることに気づくのでした。自分にとっては当たり前だと思って見ていたことは当たり前ではなく、常識さえも疑ってみるべきだと考えさせられます。

 

私たちがそれぞれに違って、それゆえに感じ方や見え方が違うことは分かったけど、その先、どのようにすれば違う人同士が分かり合えるのでしょうか。同じところを探しながら、違うところを面白がればいいと提案しています。「目の見えない人は世界をどう見ているのか」でも「みえるとかみえないとか」の両書において、その考え方は全く同じです。そして、肝となるのは、面白がるという部分です。違いを差別し合ったり、変に気を遣ったり、憐れんだりするのではなく、お互いに面白がるという精神が大切なのです。

 

それに、どんなにやることや

かんがえかたが ちがっていても、どんなひとにも、

じぶんと おなじところは かならずあるとおもう。

 

つまり、どんなひととでも、「だよねー!」って

いっしょに いえるハズ、ってことだ。

 

おなじところを さがしながら

ちがうところを おたがいに おもしろがれば

いいんだね。

 

それって すごく

むずかしいような きも するけれど、

じつは かんたんなことなのかも しれないねえ。

 

うーん。

 

でも、まあ、ちょっとずつ れんしゅうだな。