吉藤オリイさん講演「分身ロボットがつくる、コミュニケーションの未来」

昨日行われた12月のケアカレナイトにて、吉藤オリイさんが講演してくれました。一昨年の分身ロボットカフェに参加して、何としても直接話を聞きたい、湘南ケアカレッジの卒業生さんたちにもこの取り組みの壮大さと意味を知ってもらいたいと思い、オリイさんに無理を言って、本当に忙しい時間の中を縫って来てもらうことができました。それほどに期待していた講演でしたが、実際はさらにその上を行く素晴らしいものでした。オリイさんの熱量やスピード感に圧倒され、会場にいる誰もが自分たちにも何かができると巻き込まれたように感じたのではないでしょうか。

 

今あるものは決して完成形ではないとオリイさんは言います。すでに世の中は完成されてしまって、私たちにできることは何もないように思えるかもしれませんが、そうではないのです。20年前にはスマートフォンのある生活など想像もできなかったように、今から20年後の未来にあるものを私たちは想像できません。だからこそ、本当に新しい考えや発見はほとんど誰にも理解されることはなく、逆に周りにいる人たちに理解されているということは、すでに新しくないということを意味するのです。たとえ理解者がいなくても、何も心配することなく、やってみることが大事だということですね。

 

そのようにして、オリイさんの数々の発明、たとえば分身ロボットOriHimeや視線入力による意思伝達装置OriHime eye、黒い白衣、片手で名刺交換できる名刺ケースなどはこの世に生まれ、あとから実際にそれを必要とする人が出てきたのです。時代は後からついてくるのですが、そのスピードが遅すぎてもいけません。BS日テレの番組でもオリイさんがおっしゃっていたように、まだまだOriHimeOriHime eyeが世の中に認知されるスピードは遅く、このままだと本当に必要な人に届かないで終わってしまいます。親友であり仕事でのパートナーであった番田さんの死も、オリイさんの焦燥に大きな影響を与えたはずです。間に合わないでは済まされない人もいるのです。

 

 

今回の講演にはもっと多くの人たちに来てもらいたかった、というのが正直な思いです。私たちの告知不足や伝え方にも問題があったのは確かですが、もっと多くの人々に興味を持ってもらい、今の世の中を良い方に変える手助けをしてほしかった。でも講演が終わってみて、届くべき人には届いたのかなと感じました。今回の参加者には障害のある方もたくさんいましたし、小学生、高校生のお子さんもいました。生きる上での障害を抱え、何らかの問題意識がある人たちが集まり、オリイさんの話を直接聞いたことで、それぞれの生き方が変わり、未来に何かが生まれてくるはずです。私もその一人になりたいと思いました。

 

今回はかなり自腹を切ったのですが、オリイさんの研究に役立てていただければ嬉しいですし、参加者の未来を変える講演を開催できた実感もあり、今年、最も良いお金の使い方ができたと思えました。オリイさん本当にありがとうございました!