ささやかだけど、良いこと

介護職員初任者研修の2月短期クラスが無事に終わりました。4月から新しく介護の仕事に就く新卒の方も多く、ひとつ前のクラスから振り替えをしてきた生徒さんもおっしゃっていましたが、全体的に年齢層の若いクラスでした。若い生徒さんが多いと静かになる傾向はありますが、周りの生徒さんたちと分け隔てなく接して、クラスの雰囲気を盛り上げてくれる生徒さんがいたことで、それぞれが少しずつつながってくれたと思います。私も毎朝、それぞれの生徒さんたちと挨拶をしたり、話しをすることができ、関わりを持つことができました。生徒さんたちとの関わりは、私がこの仕事であり学校を続けていく原動力になっています。

 

今からちょうど20年ほど前、私は大手の介護スクールで仕事を始めました。友人の紹介で入社させてもらうことになったのですが、当時は介護のカの字も知らない初心者でした。ホームヘルパー2級講座を受けて、教室のコーディネーターとして配属されました。教室の準備をしたり、生徒さんの実習を手配したりするのが主な仕事でした。その仕事を始めて比較的早い段階で、面白いな、自分には合っているなと感じたのを覚えています。先生方は尊敬できる人ばかりで、色々なことを教えてもらい、可愛がってもらいました。生徒さんたちは良い人が多く、話していて楽しかったからです。

 

その後、担当教室の数が増え、支社全体の仕事を任されるようになってからは地獄の日々を過ごしましたが、先生方へのリスペクトと生徒さんとの関わりの楽しさがベースにあったからこそ乗り越えることができたのだと思います。どんな仕事もそうかもしれませんが、人との関わりや付き合いの中にこそ喜びがあるはずです。と同時に人間関係の中に苦しみや辛さも生じるのですが、ベースにあるのは喜びや楽しさです。喜びや楽しさを感じないとすれば、その仕事は合っていないし、長く続けることはできないでしょう。その仕事自体が合っているのかよりも、その仕事の周りに集まる人たちと一緒にいて自分が楽しいのか、喜びがあるのかが大切なのです。

 

 

もちろん、与えてもらうばかりではなく、自分にできることを提供するのが仕事です。先生方と生徒さんたちの間に入って、介護の研修が円滑に進み、双方が良い時を過ごせるようにするのが私の仕事です。先生方のように、直接生徒さんたちを教えることはできませんが、間接的に生徒さんたちをサポートすることはできるはずです。授業をすることはできなくても、ひとりで矢面に立ってもらう先生方を後方から支援することはできるはず。具体的な方法はたくさんありますが、何よりも大切なのは気に掛けること。生徒さんや先生方のことを想って気に掛けること。そこから全てが始まります。

 

そう考えると、私にできるのはささやかなことにすぎません。介護の学校にたずさわって、ずっとこのささやかなことを続けてきました。その人のことを気に掛け、声をかけ、想いを聞くだけで、ほとんどの問題は解決してしまいます。ささやかだけれど、良いことにしていきたいと願っています。

2月短期クラスの生徒さんたちから、先生方ひとり一人へのメッセージ入りの色紙をいただきました。ポケットからメッセージを取り出すと次から次へと。このパターンは111期生の中でも初めてで、新しい発想ですね。お花やフォトフレームまでいただき感謝しております。ありがとうございました!