最近、学校は劇場であり、そこで行われる授業は劇だと思うことがあります。ということは、その劇の主役は誰?ということになりますが、主役は先生方であり生徒さんたちです。湘南ケアカレッジでは、毎年、介護職員初任者研修が13本、実務者研修が12本ほど催され、同じ脚本(カリキュラム)のもと、メインの主役(先生方)は変わらないにもかかわらず、一つひとつの劇は少しずつ大きく違ったものになります。たとえば劇団四季のライオンキングや森光子さんの放浪記など、同じ公演を何百回行っても、どれひとつとして同じにはならないのと似ていますね。それはもう一人の主役である生徒さんたちのメンバーが、がらりと変わるからかもしれません。
先日、介護過程の授業を別のクラスから振り替えで12月日曜クラスにやってきた生徒さんが、「クラスによって全然雰囲気が違いますね。いろいろな方々とお話しできて楽しかったです。振り替えして良かったと思います」と言ってくださいました。ほとんどの生徒さんはやはり自分のクラスが1番良かったと思うので、振り替えして良かったという声はあまり聞くことはありませんが、他のクラスの生徒さんたちとも会えて良かったとポジティブに感じてくれる方も稀にいるのです。今回の生徒さんに関しては、12月日曜クラスの雰囲気がとても良かったということだと思います。いずれにしても、同じ初任者研修でも、それぞれのクラスで行われている公演は(良し悪しではなく)同じではないということですね。
それは主役のひとりである生徒さんたちの配役が、クラスによってごっそりと変わることが大きな理由だと思います。主な登場人物(先生方)は同じだとしても、それを取り巻く重要人物たちが異なるため、そのことが化学反応を起こし、相乗効果を生んで、毎回の授業から全体の研修まで大きく影響を与えることになります。特に毎回違う個性や背景を持った生徒さんたちの反応や動きによって、先生方の個性も生かされていくのです。授業は先生がつくるものだと思われるかもしれませんが、実はそうではなく、おそらく半分ぐらいは生徒さんたちによってつくられているのです。
私は湘南ケアカレッジという劇場の裏方として、主役である先生方と生徒さんたちが思い切って演技してもらえるようにサポートをするのが役割です。そして実際に開演されている演劇を見させてもらって、毎回、喜んだり、悩んだり、迷ったり、感動したりしています。初任者研修であればわずか15日間、実務者研修であればたった7日間の公演ですから、本当にあっという間であり、ひとつの公演が終わったと思いきや、また目まぐるしく次の公演がやってきます。だからこそ、初任者研修は100回以上、実務者研修は50回近くの公演を開催してきましたが、飽きることなく、毎回が緊張感に溢れて、充実しているのです。109期生である12月日曜日クラスは、とても素晴らしい公演だったと思います。先生方とクラスメイトの皆さま、ありがとうございました!