好きは偉大

先日、お付き合いのある事業所様からの依頼で、「統合失調症」をテーマに研修を行いました。現状でもそうですが、これの先さらに統合失調症は介護職員にとっても知っておくべき障害のひとつになるはずです。精神科医療の歴史から、精神を病む人の治療を取り巻く環境、人のこころの構造、精神疾患の理解まで、3時間という短い時間でしたが、藤田先生がコンパクトで中身の濃い授業をしてくれました。私も動画撮影のため、最初から最後まで聴講させてもらいました。べてるの家から始まり、もともと興味のある分野でしたので、とても興味深く、勉強させてもらいました。

 

授業の合間で、「自分のストレス解消方法を1分間で30個書いてみよう!」というストレススコーピングのワークを生徒さんたちに課していました。実際に私も取り組んでみたのですが、ほとんど書けませんでした。寝ること、美味しいものを食べること、犬の散歩に行くこと、ネットサーフィンをすること、映画を観ること、競馬を観戦することなど、6個ぐらいしか書けません。もちろん、ストレスを解消する方法は多ければ多いほど良く、ストレスを受けやすいかどうかはさておき、私はストレスをためやすいタイプなのかもしれないと思いました。書ける人は30個ぐらいは簡単だそうですから、皆さんもぜひ書き出してみてもらうと、自分がストレスをためやすいタイプかそうでないのか分かるはずです。

 

このストレスコーピングのワークを終えて、ふと思ったのは、かつて藤田先生が知的障害者ガイドヘルパー養成研修で行った「自分の好きなものを挙げて自己紹介してください」というアイスブレイクと似ているということです。生徒さんそれぞれの好きなものを挙げて、自己紹介してもらうと、高尾山の麓で冷蔵庫を使わない生活をしている、「ゆうれい会社道連れ」というインディーズバンド、華道、茶道、アマゾンを使った便利な生活、田舎の風景、イチゴのショートケーキ、生春巻き、トランペット、パフューム、保育園、人と接することが好き、福祉、洗濯物をたたむ、小学生の放課後支援、ワンボックスでドライブ、チワワ、ジャニーズ、グランベリーモール南町田、猫、大阪弁、トールペイント、海老名の図書館、神木隆之介、韓流ドラマ、南こうせつ、川釣り、ジェットスキーなどなど、まさに十人十色。たくさんの自分の世界にはない「好き」がポンポンと出てきました。

 

私も生徒さんたちと一緒になって挙げてみたところ、先ほどのストレス解消法と重なるのですが、まずは競馬(これは語り始めると止まらないので語りません)、ビリヤード(学生の頃にアメリカに行って修行するぐらいはまりました)、映画鑑賞(「ショーシャンクの空に」、「アバウトタイム」、「あん」、「アマデウス」、「ファイトクラブ」など挙げていくと100を超える好きな映画があります)、読書(ビジネス書から教養本、小説まで読みますが、おすすめの1冊は星野道夫さんの「旅をする木」)、音楽はサーフミュージック(DefTechなど)やジャズ(セロニアスモンクのピアノ)、それから野球を小さい頃ずっとやっていました。美味しいものを食べることが好きになったのは最近の話で、290円ののり弁も好きです。旅行をするのも好きでオーロラを見に行くのが夢。ストレス解消法と考えると難しかったのですが、自分の好きを書き出すのは楽しいですね。

 

 

このアイスブレイクは、好きなものはたくさん挙げられる、皆の前で話せる、他者に興味が湧く(興味を持ってもらえる)、誰かの話を聞くときに目線を合わせているなどを実体験してもらうためでした。冒頭のストレス解消法とも好きは重なっており、好きなものが多くあればあるほど、他者とのコミュニケーションも上手く行き、ストレスから自分を守ることもできるということなのでしょう。そう考えると、好きは偉大ですね。