やっぱり褒めが大事

「介護はこころが8割」だとすると、教育においては「褒め・認めが8割」です。学生の頃から塾などで子どもの教育にたずさわってきて、10年ぐらい掛かってようやくたどり着いたひとつの結論です。残りの2割は、教える内容や話し方、授業の進行のスムーズさや板書の取り方など、その他もろもろです。教育学部等ではその他もろもろの部分をみっちりと教えてもらえるのですが、実際に教えてみると上手く行かない。先生は完璧に授業をしているつもりでも、生徒さんの反応は鈍く、表情は曇りがちで、アンケートにおける評価も高くない。教育現場あるあるです。

 

「なぜ授業が上手くいかないのでしょうか?」、「悪くない授業をしているつもりですが、なぜか生徒からの評価が良くなくて…」、「授業の内容とはあまり関係ない、どうでもよい部分にクレームを言われたりするので困っています」などと相談されて、実際にその先生の授業を少し見せてもらうと、大体の場合において、なるほどとなります。ほとんどのケースにおいて、ただ単に褒め・認めが足りない(もしくは全くない)ことが原因でした。その他もろもろの部分を気にするあまり、褒め・認めが足りない(もしくは全くない)ことに先生自身が気づいていなかったのです。

 

「褒め・認めが足りないですね」と(当時は単刀直入でした…)伝えると、その先生は思いがけないところからボールが飛んできたようなキョトン顔をして、しばらく考えて、「なるほど」と理解してくれました。自分の授業が上手く行かない原因が、まさかそんなところにあろうとは、教えることに真剣すぎる先生ほど意外にも盲点になってしまうようです。「褒め・認めをもっと入れていくと、授業の雰囲気は良くなって、生徒さんたちからの評価はさらに高くなりますし、多少失敗しても許してもらえますし、変なクレームもなくなりますよ」とアドバイスすると、それ以降、先生は生き生きと授業してくれますし、生徒さんたちにも笑顔が出てきて、授業の雰囲気も明るくなります。その様子を見て、やっぱり褒め・認めは大事なのだと思うのです。

 

湘南ケアカレッジの先生方の最大の強みは、褒め・認めだと思います。介護の先生方も医療の先生方も、それぞれの先生方によって褒め方、認め方こそ違えども(それもまた素晴らしい)、「褒められて嬉しかった」、「褒めてもらえて自信が持てた」など、アンケートにもたくさんの感謝の言葉が並んでいることからも、生徒さんたちが十分に褒め・認めてもらえているのが分かります。積極的に褒め・認めをしてくださっている先生は、やはり生徒さんたちからの評価も好意的です。生徒さんたちは、私たちが思っている以上に不安な気持ちを抱えて通ってくれているのだと思います。

 

私たちの目的は、自分の教えたいことを教えるではなく、介護・福祉教育を通じて、生徒さんたちを褒め・認めながら導くことであり、相手のニーズもそこにあります。そうして最終的に、「世界観が変わった」と言ってもらえたり、生徒さんの人生が少しでも変わるきっかけとなれば、これ以上の喜びはありませんね。

 

 

もし授業に行き詰ってしまったら、褒め・認めが足りないのではないだろうかと振り返ってみてください。適切なポイントで、具体的な伝え方で、生徒さんを褒め・認めることができているか。また、たくさんの褒め・認めポイントが想定されていて、それらから逆算する形で授業が構成されているかどうか。教え方のサイクルは回せているかどうか。もしかするとそれは教育の現場だけではなく、普段の生活や仕事、人生の中で上手く行かないことがあったときにも、同じように考えてみてもよいかもしれません。やはり褒め・認めが大事という結論にたどり着くはずです。

 

望月先生が今年も筆記試験対策講座の解答用紙にメッセージを書いて、生徒さんたちに贈ってくれました。今年はさらにパワーアップして巻物のようですね(笑)。また、影山さんも講座の前に宿題のチェックをしながら、スタンプを捺して回って、宿題をやってきてくれたことを褒め・認めてくれています。そんな単純なことでも、生徒さんたちは嬉しそうに笑顔になってくれます。ひとりでも多くの卒業生さんが介護福祉士になれますように!