ホームヘルパー2級と介護職員初任者研修の本当の違いについて(中編)


HH2 介護職員初任者研修
研修時間
130時間
スクーリング日数

  12日間

(実習4日間含む)

15~16日間
科目 24科目 38科目
実習 あり 基本的になし
通信学習 最大52時間 最大40.5時間
料金
8万円前後(学校によって異なる)
10万円前後(学校によって異なる)

 

「ホームヘルパー2級講座」と「介護職員初任者研修」の違いについて、もう少し詳しく説明していきたいと思います。

 

まずは授業時間について。ホームヘルパー2級講座も「介護職員初任者研修」も総時間数は130時間で同じです。何が違うかというと、通信添削形式における通学(スクーリング)時間、つまり教室に足を運んで学ぶ時間が違うということ。分かりやすく日数で記すと、ホームヘルパー2級講座の授業(スクーリング)時間は8日間、「介護職員初任者研修」は15日間です。通信添削の時間がやや短くなり、通学(スクーリング)の日数が増えました。

 

ここまで書くと、7日間も増えたのかと思われる方もいるかもしれませんが、実際のところは、ホームヘルパー2級講座には4日間の実習があるので、計12日間が授業時間と考える方が自然です。敢えて拘束時間という呼び方をすると、ホームヘルパー2級講座の拘束時間は12日間であったのに対し、「介護職員初任者研修」のそれは15日間です。この3日間の違いを、たった3日間と捉えるか、3日間もと捉えるのか。個人的には、10万近い受講料を払って学ぶのですから、たった3日間しか違わない。むしろ、3日間多く学べる「介護職員初任者研修」の方が良いのではないかと、この点においては素直にそう考えます。

 

次に、実習のあるなしについては、賛否両論があるはずです。「介護職員初任者研修」では、実習はやらなくてもよいし、やってもよいということになっていますが、業界全体のニュアンスとしては、やらない方向でということです。なぜかというとホームヘルパー2級講座にせよ、「介護職員初任者研修」にせよ、研修を修了するまでは未資格の状態なので、実習に行っても基本的には利用者に手を触れることはできません。これまでのホームヘルパー2級講座においては、実習と言いつつも、現場見学というのが実状でした。

 

私がかつて働いていた学校でも、実習受け入れ先によっては、ただ突っ立って見ているだけということもあったようですし、タオルをたたむだけで1日が終わってしまったと聞いたこともあります。これは決して実習先が悪いのではなく、未資格者にお願いできることは限られているからです。そんな中でも、少しでも利用者さまに接してもらうと工夫したりと、素晴らしい実習を提供してくれる施設や事業所はたくさんありましたが、全体的に見ると、計30時間を割いて行なう実習が実のあるものになっていたかと問われると、なっていなかったというのが厚生労働省の見解だと思います。

 

私は実習にとても良い思い出があるので、今回の介護職員初任者研修のカリキュラムを作るにあたって、実習を取り入れるかどうか迷いました。ほとんどの学校にとっては、迷う余地もなかったと思いますが、生徒さんにとって本当に良い研修はと考えると、これは難問であり、最後の最後まで迷った結果として、湘南ケアカレッジとして授業内容に力を入れようと決めました。その代わり、「介護職員初任者研修」を修了して、資格を取られたあかつきには、クラスメイトと一緒にボランティアに行ったり、実際に現場で働き始めたりと、そういう部分の勧めやサポートをしていきたいと思います。現場に立ってみないと味わえない、介護の世界の素晴らしさもあるからです。

 (後編に続く)