湘南ケアカレッジの「介護職員初任者研修」における実技演習は、ボディメカニクスに始まってボディメカニクスに終わるといっても過言ではありません。研修の中で一貫して伝えていきますし、何度も繰り返し練習をするので、誰もが身体で覚えてしまいます。最初は知識として入り、そのうち意識せずとも使えるようになり、最後は体得しているという流れです。
ボディメカニクスとは、人体に外部から重力や抵抗が加えられたとき、筋肉や骨、関節などが関連しあって起こる姿勢や動作のことです。介護の世界では、「ボディメカニクスを使って(用いて)」など言い、つまりは力学的原理を利用した介護技術のことですね。小さな力で大きなものを運んだり、動かしたりすることができますので、小柄な女性でも体の大きな方を介助することが可能になるのです。ボディメカニクスの原則は以下のとおりです。
① 支持基底面積を広くとる
② 重心を低くする
③ 重心の移動をスムーズにする
④ 重心を近づける
⑤ てこの原理を使う
⑥ 対象を小さくまとめる
⑦ 大きな筋群を使う
それぞれの原則に関しては、授業の中で詳しく説明しますし、実際に体を使って体験してみてもらわないと本当の意味では理解できません。よって今回は省略しますが、ボディメカニクスの授業を受けたあとの生徒さんの感想を以下にまとめてみましたので、ぜひご覧ください。
・力を入れずに移動させられたので楽だった。
・声掛けがとても必要だと思った。
・不思議だった。
・坐骨を浮かすことができると楽に移動できる。
・介助する方だけではなく、介助される方も楽だった。
・スムーズに動くと嬉しかった。
・簡単なやり方を知ると、介護(介助)が楽しくなる。
・背の低い人でも介護ができると思った。
・腰の負担が少なくて良い。
・自分よりも大きな人を動かせた。
介助する人だけではなく、介助される人も楽だったという声が多かったですね。楽に移動できるということは、介助する側・される側の安全や安心につながります。
そして、何と言っても、腰の負担が少なくて良いということです。介護者の8割以上が腰痛を経験したというデータもあり、施設や事業所によっては、「腰痛になって一人前」なんて言うところもあるみたいですが、当校の小野寺先生に言わせると、それは大間違い。ただ単に、腰痛になる介護技術を使って介護をしているだけとのことです。しっかりとボディメカニクスを身に付けて介護すれば、腰痛にはならないのです。湘南ケアカレッジでは、腰痛にならない介護技術をお伝えしていきたいと思います。