思い込みから自由になる

湘南ケアカレッジの「介護職員初任者研修」を修了された生徒さんたちから、介護に対する考え方や見方が変わったという声をよく聞きます。変わるものはそれぞれに違うようですが、たとえば何でもやらなければならないというお世話の介護観から自立支援の介護観へ、肉体的につらいと思っていた介護から介護者にとっても安楽な介護へ。これから介護の世界へ飛び込もうと思っている人は不安がなくなり、早く介護の仕事をしてみたいと思うようになり、現場で働いたことがある人は、今までは何をしていたのだろうと思うぐらい意識が変わるそうです。

以下、たくさんありすぎて全てを掲載できませんが、「変わった」と書いてくれた生徒さんたちのアンケートの一部です。

 

・実際の現場で働いていますが、研修を通して、意識が変わりました

最初はとりあえず資格を取るだけのつもりで来たが、実際に研修を受けてみると「今まで何をしていたのだろう」と思うことがたくさんあった。

・研修を受けて、介護の考え方が変わりました。今までは、過剰介護の考え方でいましたが、研修を受けて、自立支援の重要性がよく分かりました。特におむつの体験は、相手の気持ちを理解するのに役立ったと思います。

介護のやり方や考え方がだんだんと変わってきて、利用者も介護者にも負担がかからないやり方が多くあることを知りました。

・研修を受ける前は、介護の世界に入るのが少し不安でしたが、その不安がだいぶなくなりました。介護職はとてもやりがいのある仕事だと思えるようになりました。早く介護職につきたいです。こう思えるようになったのは、先生たちのおかげです。

 

・研修を受けるまでは、単に資格を取って、常勤になれればいいや位にしか思っておらず、介護の仕事に対するやる気も失いかけていたけど、研修を受けて、勉強をして、グループワークをして、色々な人と話して、こんな考え方や取り組み方もあるんだなあと感じ、考え方が変わり、また頑張っていこうと思えるようになりました

 

「子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?」という本があります。養老孟司さんや茂木健一郎さん、瀬戸内寂聴さんなど錚々たる8人の識者たちが、子どもたちにも分かるように、なぜ勉強しなければならないかを独自の視点で語っています。その中で、私がもっとも腑に落ちたというか共感したのは、福岡伸一さんという生物学者のお話です。福岡伸一さんは、「勉強すれば『思い込み』から自由になれるから」と教えてくれます。ここでいう自由とは、ありのままの自分でいられることであり、その自由を奪うのが人間の脳のクセがつくりだす「思い込み」だというのです。

 

たとえば、介護の世界でいうと、冒頭でも書いたように、「何から何までやってあげなければならない」とか、「介護の仕事は肉体的に重労働だ。腰を痛めてしまいそう」とか、「力のない私は重い人を持ち上げられない」とか、「やりがいがなさそう」とか、そう思い込んで研修を受けに来る方がいます(というか、ほとんど誰もがそう思っていると思います)。でも、しっかり研修を受けて勉強をすると、その思い込みから自由になり、解放された気分になれるのです。それは世の中の見え方が少し変わるということでもあり、その人の人生にとってもとても大切なことです。むしろ子どもよりも大人の方が思い込みは強くなっているので、大人こそ勉強して自由になっていかなければならないのかもしれませんね。