久しぶりの学生生活

「久しぶりの学生生活がとても楽しかった」と生徒さんたちは口を揃えます。口に出しては言わない生徒さんもいらっしゃいますが、おそらく「介護職員初任者研修」を受けた生徒さんに共通した思いなのではないでしょうか。私が今から10年以上前に当時のホームヘルパー2級講座を受けたときもそうでした。「介護職員初任者研修」を受けるほとんどの生徒さんは、自分が学生だった頃から、随分と年月が開いています。久しぶりの学生生活を送ってみて、あの頃の楽しい気持ちが蘇り、あの頃には気づかなかった学ぶ喜びを知るのです。

「介護職員初任者研修」は開講式のオリエンテーションから始まります。いわゆる入学式ですね。初めて顔を合わせる面々の中で、誰もが周りの様子を伺いながら、緊張して話を聞きます。開講式が終わると授業が始まり、休憩時間を挟みながら、あっという間にお昼休み。規則的な時間配分の中で、授業時間は勉強に集中し、休み時間はゆったりと休むというリズムに身を任せます。

 

授業時間の合間の休み時間や、午前と午後の間のお昼休みなんて、懐かしいですよね。休み時間にはお手洗いに行ったり、ちょっと長い休み時間には飲み物を買いに近くのコンビニまで。お昼休みには、仲良くなったクラスメイトと話しながら食事したり、お弁当を皆で買いに走ったり、忙しい人は通信添削課題集を空いた時間でやったりしています。食事が終わったら、近くの喫煙場所まで歩いて、クラスメイトの煙草メンバーと一服しながら未来のことを話したり。

 

お昼休みが終わると午後の授業がスタートして、2時ぐらいは眠い目をこすりながら、まぶたが閉じそうになっても我慢して、先生の話に耳を傾けます。そうこうしていると授業は終わり、自宅に帰って、時間をみつけて通信添削課題に取り組みます。テキストと課題集をにらめっこして、ようやく完成したときの達成感。解く前は心配だった課題集が、やればできることが分かって、なんだか少し自信が湧いてきます。

 

5日目からは体を使った実技が始まります。ここから最終日まではあっという間です。まるでジェットコースターのように、日々、新しい介護の技術や知恵を学び、何度も繰り返し練習して、身体で覚えていきます。これまで知らなかった世界を知る喜び、これまで出来なかったことが出来るようになる嬉しさ。かつて勉強が苦痛で仕方なかったことなど、いつの間にか忘れてしまい、学ぶことが楽しくなってきている自分に気づくのです。

 

それでも最終日には修了試験が待っています。ここを合格しないと修了証明書は手に入りませんので、授業中に取ったノートを見返したり、クラスメイトとどんな問題が出るんだろうなんて話になったりします。最終日前日の実技の確認テストもそうですが、自分が試されるテストを受けることに対する緊張感と不安感が募ってきます。そして合格したときの気分の高まり。

 

介護職員初任者研修における、こういった体験や気持ちを通して、「久しぶりの学生生活が楽しかった」と言ってくれるのだと思います。もうあの頃には戻れませんが、私たちはいつまでも学ぶ喜びを味わうことはできます。あの頃には知りえなかった、仲間と共に学ぶ喜びを。