誕生日祝い

先週、誕生日のお祝いをしていただきました。湘南ケアカレッジには、先生方と生徒さんたちの誕生日を祝うというイベントがあります。「介護職員初任者研修」を受講している期間中にたまたま誕生日が当たった場合、バースデーソングを歌ってもらい、クラス全員から祝福してもらいます。湘南ケアカレッジに来て良かったと、先生方や生徒さんたちの思い出に少しでも残してもらえるように考えたイベントですが、まさか自分の誕生日も祝ってもらえるとは思っていませんでした。大きな色紙のようなホワイトボードにメッセージをいただき、花束やお手紙、ビールとおつまみまでプレゼントしてもらい、皆さまに感謝します。

先生方の粋な計らいで、生徒さんたちがホワイトボードの後ろにメッセージを書いてくれていました。「授業が楽しいです」、「ここに来てよかったです」という嬉しいものから、「朝あいさつしてくれてありがとうございます」、「誕生日おめでとうございます」という温かいものまで。言葉を書くのは苦手だからといって、ケーキの絵を描いてくれた生徒さんもいました。その中には、「この学校をつくってくれてありがとう」という、私にとっては最高の褒め言葉までいただき、湘南ケアカレッジをつくって良かったなと心から思いました。

 

実は、この誕生日のお祝いのイベントは、私がかつて関わっていた子どもの教育現場での出来事がきっかけとなっています。そこでは生徒さんの誕生日にカードを書いて渡すということを行っていたのですが、最初はあまり大したことと私は考えておらず、そうすると決められているからやるという気持ちでした。正直に言うと、授業の内容を見直すとか生徒を集めるために営業するとか、他にもっとやるべきことあるんじゃないのと思っていました。

 

ある中学校2年生の女子生徒の誕生日がやってきました。仕事のひとつとしてメッセージを書き、カードを渡し、おめでとうと伝えたところ、「こんなことしてくれるなんて嬉しい!すごくいい学校だね!」と思いのほか喜んでくれたのでした。普段はあまり感情を表に出さず、何を考えているのか分かりにくいタイプの女の子でしたので、彼女が満面の笑みで素直に嬉しいと言ってくれたことに私は驚きました。誕生日を祝ってもらうということは、これほどに嬉しいことなのだと。人の気持ちを想像することさえできなかった自分の底の浅さを思い知らされたのでした。

 

それ以来、どんな場所にいても、誕生日を祝うというイベントを自ら積極的に行うようになりました。大手の資格スクールにいたとき、先生たちの誕生日を祝うのはいいけど人数が増えるとできなくなるよ、カード代は誰が払うの?生徒さんの誕生日を祝うなんてもっての外だと反対されましたが、先生方の誕生日にカードを送ることは押し切って始めました。そんなことしてどうすると言う人に、中学2年生の彼女の笑顔と感情をいくら伝えても完全に理解してもらうことは難しいのですが、世の中にはお金や効率よりも大切なものはたくさんあると思うのです。それは誰かに喜んでもらうことであったりするはずです。