6月から始まった土曜日クラスと9月短期クラスが最終日を迎えました。2月の土曜日クラスは大雪に祟られたりしましたが、今回はこれといった問題もなく、どちらのクラスの皆さんも順調に卒業となりました。順調に来たからこそ、あっと言う間に終わってしまったという印象も強く、私自身、もっとひとり一人の生徒さんたちと話したかった、関わりたかったという心残りがあります。生徒さんたちもそう思ってくれていると幸いです。それでも、最終日には土曜日クラスの全員の生徒さんからのメッセージ入りの色紙をいただき、感謝の気持ちで一杯です。色あせたり、傷んだりしないようにという配慮ゆえの額入りだそうです。本当にありがとうございました。
今回の土曜日クラスの生徒さんから言われたことで、最も印象に残っているひと言があります。それは「湘南ケアカレッジで施設はつくらないのですか?」という素朴な質問でした。つくらないなんておかしいとか、つくってほしいというニュアンスではなく、つくったら面白いのにという意味での言葉だったと思います。「これだけ良いメンバー(生徒)が揃っているんだから、いい施設ができると思うんだけどなあ。やっぱり介護の仕事はチームワークが大切ですよね」ともおっしゃっていましたし、その通りだと私も思いました。これだけ素晴らしい人たちがいるのですから、卒業生が集まって、介護の施設や事業所ができたらどれだけ素晴らしいかと思うこともあります。
それでも、湘南ケアカレッジはおそらく、いや間違いなく、施設や事業所等の現場を運営することは、この先もないと思います。それは現場の仕事や運営が大変だとか、施設や事業所の経営手法が学校のそれとは全く異なるとか、そういう問題ではなく、教育と現場は全く別物であり、それぞれが完全に独立しているべきだと思うからです。もちろん、現場と教育が連携していることによってのメリットもありますが、それ以上にデメリットが大きいと考えます。良くも悪くも、現実と理想は別々であるべきで、決して融合してはならないのです。
現場と教育の根っこが同じであることによって、最も大きな問題となるのは、現場に合わせた教育をしようという力が働くことです。つまり、自分たちの現場で使いやすいような人材を育てるための教育が行われます。理想に向かって現場を引っ張り上げようとするのではなく、現実に合わせて理想を引き下げる力の方が強いからです。また、人材の囲い込みが行われます。良い人材は自分たちのところで働いてもらえるように手を回すような行為が、教育の場に持ち込まれるのです。それはまだ良いとして、コインの裏面としては、相応しくない人材の排除も行われることになります。人を育てるべき学校がそのような優劣をつけるべきではありません。
と理想論を書いてしまいましたが、本音を言わせてもらえば、湘南ケアカレッジを卒業した生徒さんたちには、現場で楽しく働き、利用者さんを幸せにし、少しでも現実を理想と近づけようという気持ちを持ち続けていてもらいたいと願います。その過程で、現場で悩んだり、壁にぶち当たったりしたときには、いつもで学校に来てください。私たちのできるサポートを全力でさせていただきます。それこそが、学校が現場と別々に分かれているべき本当の理由かもしれませんね。