惑うことなく

生徒さんたちと先生方に誕生日を祝っていただきました。1日前でしたので、今年は大丈夫だと油断していたのですが、皆さまからホワイトボードにメッセージをいただき、ケアカレカラーのオレンジのお花を贈っていただき、バースデイソングまで歌ってもらいました。湘南ケアカレッジでは、授業当日に誕生日を迎える先生や生徒さんがいると、クラスメイト全員でお祝いをする文化があります。たまたま学校に来ていただく日が誕生日と重なることは奇跡的です。惜しくも1日前であったり、1日後であったりして、泣く泣くお祝いできなかった先生や生徒さんたちはたくさんいたのですが、ルールは破るためにあるのですね(笑)。2月短期クラスの皆さま、そして先生方、本当にありがとうございました!


湘南ケアカレッジにとっての成功とは、先生、生徒、卒業生さんたちなど、湘南ケアカレッジに関わる人びとが、お互いに長きにわたって幸せな関係を築くことです。「湘南ケアカレッジをつくってくれてありがとうございます」と言っていただきましたが、私こそ、先生方と生徒さんたちと一緒になって、こんなにも素敵な学校をつくることができて幸せです。何が幸せかって、生徒さんたちにとって来て学んで良かったと思ってもらえる学校であり、先生方にとっても教えることができて良かったと思ってもらえる学校であることです。携わる全ての人々が幸せであることは、当たり前のようで当たり前ではないのです。

 

2月短期クラスの中に、タイに長い間住んでいたという生徒さんがいます。タイにおける介護や福祉の実状にも詳しく知っておられ、その上で、この介護職員初任者研修を受けてみて、日本の介護の技術は素晴らしいと言ってくださいました。相手を思いやった中で生まれてくる介護技術であり、おもてなしの心から来る介護技術。私もこの生徒さんが言いたいことがよく分かります。それは日本の介護における技術が、単なる上手くできるようになるということではなく、相手にとって心地良く、安全で、尊厳が守られていて、心に寄り添ったものであること。だからこそ、技術論を聞いているのだけれども、そこには人間に対する愛を感じるのです。


近い将来、日本の介護技術を他のアジアの国々へ輸出する日が来るはずです。タイだけではなく、中国や韓国など、人口がピークアウトして、これから日本よりも数十年遅れで高齢化社会を迎えるであろう国々へ。本当は必要のないものを売るのではなく、人々を幸せにする技術を私たちは届けるべきだと思います。

 

もうすぐ湘南ケアカレッジが開校して2年が経とうとしています。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と方丈記の一節にあるように、何も変わっていないように見えても、その間に私たちは少しずつ変化し続けているのです。上手く行くときもあれば、そうでないときもある。調子の良いときもあれば、そうでないときもある。先生方ひとり1人もそうですが、昨日の私と今日の私も違うのです。それでも、上手く行かないときでも、調子の良くないときでも、お互いに助け合い、支え合っていくことさえできれば、全体としては何とかなるものです。たとえ水面下では激流が流れていても、水面は静かな川のように。そのためにも、私たちは惑うことなく、“できない”ではなく、“どうやったらできるか”を常に探し求めていきたいと思います。