卒業生が笑顔で働けるように

教室に遊びに来てくださった卒業生とお話をすると、今働いている介護の現場について尋ねることになります。ほとんどの方は、「楽しいです!」、「頑張っています!」と答えてくれて安心しますが、中には「理想と現実が違いすぎて…」、「仕事がきつくて」、「人間関係があまり良くないです」などの相談を受けることもあります。話を聞いていくと、本人の意識が高いがゆえに現実とのギャップに気づいている良い面もありますが、どうにもその職場がその人に合っていないケースも多く見受けられます。


合っていないとひと言で括ってしまうと簡単なのですが、合っていないにも色々とあり、①「そもそもその職場のあり方が良くない」ケースと、②「その人に合っていない職場を選んでしまっている」ケース、③「その人と施設や事業所の向いている方向が違う」ケースなどに分けられます。

 

については、働く場所を変えることおすすめします。介護職員初任者研修を受けたばかりでは経験が少なく、いくら本人が意気込んでも、一朝一夕に現場を変えることはできません。その場に居続けて、自分が力をつけてから変えてゆくこともできますが、時間が掛かることは知っておかなければなりません。利用者さんたちを残してしまう申し訳なさに後ろ髪をひかれつつ、きちんとした介護を提供できる場所に移ることが大切です。また人間関係が良くないときも同じことが言えて、無理をして合わせることはなく、自分の心を守るためにも、別の場所に行くべきです。

 

については、その人の求めている働き方と場所が合っていないということです。若くてこれからバリバリと働いて、技術や知識を身に付けて、キャリアップしていきたいという方ならば、特養や老健等の施設で分刻みの仕事をすることも大切ですが、利用者の生活に寄り添いながらひとり1人に合わせた介護をしてみたいという方は、グループホームや一部の有料老人ホームの方が良いはずです。同じ施設系でも、現場によって働き方が全く違うにもかかわらず、初めの一歩を間違ってしまっていることもあるようです。

 

については、施設や事業所の理念を知らずに入ってしまっているということです。たとえば利用者さんを楽しませることをモットーとしているデイサービスに、レクレーションや盛り上げるのが苦手という人が入っても辛いだけです。そもそも、こういう介護をしたいという理念がない(もしくは形骸化している)施設や事業所もありますので、そこで何か利用者のためになることをしたいと提案しても、うちはそんなことをする時間もお金もないと却下されてしまうということになりかねません。

 

いずれにしても、こうした働く人と現場のミスマッチは情報量の少なさから生まれることが多いと思います。介護の仕事を選ぶときに、その施設や事業所に関する情報があまりにも少なすぎるため(折り込み広告やインターネットや無料求人誌を見ても同じような情報しか載っていませんよね)、どのようにして仕事を選ぶかというと、給与と場所になってしまっているのです。これでは目をつぶって、一か八かで選んでいるのと同じです。働く場所は生きる場所でもあり、できるだけ自分に合った場所を探したいものですよね。ケアカレの卒業生が笑顔で働けるようなサポートがしたい。そんなことを最近ずっと考えています。