昨年の秋ごろに、湘南ケアカレッジのキーホルダーを送って以来、およそ1年ぶりに卒業生さんたちにケアカレの「コンセプトマガジン」を送りました。昨年のときもそうだったのですが、こういう新しい働きかけをすると、必ずやいろいろな反応が起こり、きっかけが生まれます。私の感覚では、静かな湖に大きな石を投げ入れるようなものでしょうか。さざ波が立ち、強弱の差こそあれ、それぞれの心に波紋が広がってゆきます。こうしたやりとりを通してお互いの状況を確認したりしますが、1年という時間は本当にあっと言う間であるにもかかわらず、私たちは大きく変わっていることを実感させられます。良くも悪くも、私たちは変わらざるをえないし、変わらなければならないのですね。
良いところで言うと、ご結婚をされて名前が変わりましたという知らせを受けました。その卒業生さんは、歌(ゴスペル)を歌うのが得意で、施設に行ってお年寄りの方々に歌を歌ってさしあげたい、という理由で湘南ケアカレッジに来てくれました。その当時は、すぐに介護の仕事がしたいということではなかったはずですが、聞くところによると、卒業したあとデイサービスで働き始め、もう1年半になるそうです。
それから、今年の3月に卒業した生徒さんから電話をいただき、ひとしきり話したあと、「隣にもうひとり卒業生がいるので代わりますね」と言われ、話してみたところ、なんとまるまる2年ぶりの卒業生さんでした。なぜその2人が同じ場所にいるのか分からなかったのですが、実は同じ施設で働いていて、レク係として一緒に準備をしていたところだそうです。2年ぶりの彼は、有料老人ホーム→特別養護老人ホームときて今は有料老人ホームで働いている。彼が卒業後にこの世界でずっと働き続けてくれていること、そして楽しく働いていることが何より嬉しかったです。
良くないところで言うと、腫瘍が見つかって手術をしたという方もいれば、卒業生がお亡くなりになったという悲しい出来事もありました。卒業後にもFacebookでメッセージをくれたりして、個人的にもつながりがあっただけに、いまだに信じられないというか、残念で仕方ありません。私は私にできることをやっていくしかありませんが、学校としてだけではなく、私個人として、何かお力になることができればと思います。
私もこの1年間を振り返って、変わらないためには変わり続けなければならないのだと強く感じました。私たちはつい、今のままがずっと続いてくれたらよいのにと思ってしまいがちですが、世の中は刻々と変化していき、周りの環境や人々も大きく変わっていきます。もちろん、自分のこころや身体も。そういった中で、もし変わらないことを目指すのであれば、逆説的ですが、変わり続けなければならない。行く河の流れは絶えずして、しかし元の水にあらず。変わってしまうことは悲しいことであり、また周りの人々との間に摩擦を起こし、ときには傷つけてしまうこともありますが、それはもうどうしようもないことなのです。自分が自分であり続けるために、私たちは変わり続けなければならないのです。