昨年は全身性障害者ガイドヘルパー養成研修を3回開催させていただき、卒業生さんたちが教室に来てくださって、授業を受けている様子を見て、とても嬉しく思いました。卒業生さんたちが変わっていないことに対する安心感や逆に成長していることに対する驚き、また久しぶりにお会いできた懐かしいという感情だけではなく、それ以上の不思議な感覚を覚えました。この喜びの理由は何だろう、とずっと考えてきましたが、分かりました。そう、一期一会だと思っていたのにまた会えたからです。
介護の資格スクールは基本的には一期一会です。悪い言い方をすると、生徒さんと学校はその場限りの関係。それだから、入ってしまえばあとはどのような授業やサービスを提供しようがしまいがお構いなし、とりえあえず修了してくれればよい、と学校が考えてしまうのは仕方のない面もあって、大手の介護スクールで働いていた経験や現場の忙しさからもその気持ちは良く分かります。それでも、たった15日間の関係を、その場限りと考えるか一期一会と考えるかには大きな違いがあると思います。
私たちの人生における他人との関係のほとんどは、一期一会もしくはその場限りです。道で行き交う人々もそうですし、同じ電車の車両に乗る人々もカフェにいる人々もそう。お店の店員さんとお客さんの関係もそうですし、私が子どもの教育(塾)をやっていたときの講師と生徒の関係も長い目で見ればそう(あるべき)でした。
たとえそうだとしても、目の前にいる人に全力で向き合うかどうかは、(言葉でうまく説明できませんが)とても大切なことだと思います。そういう利他的な感情や行動の延長線上に、福祉や介護のこころは存在しているからです。もしその場限りだと考えてしまう人が増えれば、私たちの社会は生きにくいものになってしまうのではないでしょうか。
そうした関係を、学校という空間に凝縮しているのが湘南ケアカレッジです。私たちはただ介護の知識や技術を教える学校ではなく、たとえ一期一会であっても(佐々木先生の言葉を借りると)人が人を想うという関係を大事にし、福祉や介護のあるべき姿を体現できるような学校でありたいと常に願っています(もちろん至らないこともたくさんあるかもしれませんが)。そこで何かを感じてくださった方が、ケアカレを卒業し、外の世界に出て、自分の周りの人たちに同じように福祉や介護のあるべき姿を体現してくれることで、地域が少しずつ変わっていく。教育や学校とは本来そういった力を持っているはずなのです。
そう思って、湘南ケアカレッジが始まってから、私たちは1400名以上の生徒さんたちと接してきましたが、実は一期一会ではなかったのです。一期一会だと思っていたのに再び会うことができた喜び。あのときと変わらない笑顔に再び会うことができたとき、そう感じたのです。来年度は実務者研修も行いますので、他の先生方ともこの喜びを共有できると思うと新年から楽しみでなりません。
感謝の気持ちを込めて、全身性障害者ガイドヘルパー養成研修の体験動画をつくってみましたのでご覧ください。