素直でありたい

「心が洗われました」と最終日におっしゃってもらいました。その男性は勤め上げた会社を定年で退職し、新しい人生に踏み出そうとする第一歩として、誰かの役に立てるかもしれないと、湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修に来てくださいました。始めは介護や福祉について学べれば良いと考えていたけれど、研修を受ける中で内容の濃さに驚き、ケアカレの先生方の気持ちの熱さに感動したそうです。私たちよりも2まわり以上に年上の方に、そんな風に言ってもらえて素直に嬉しいですし、またいくつになっても学び、感動することができる姿に私たちは尊敬の念を抱きます。私が彼ぐらいの年齢になったとき、彼のように素直でいられるでしょうか。そうありたいと願います。

 

湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修には、10代から70代までの幅広い年代の方々が参加されます。今までの最高齢は77歳の男性でした。とてもお元気で、毎朝、ケアカレの階段を息も切らさずに登ってきていました(卒業生には分かりますよね笑)。このように、生徒さんだからといって年下ではなく、私たちよりも年齢が上の生徒さんであることも多いのです。特にケアカレの講師陣は年齢層が若いため、人生の大先輩方に対して、介護や福祉について教えなければならないことになります。もちろん、先生方は人生の先輩方と対峙する仕事をしてきましたので、敬意を失ったり、上から物を言ったりすることもありませんが、やはり自分たちよりも人生経験が長い生徒さんに何かを伝えようとするのは、とても勇気のいることです。

 

だからこそ、私たちのことを受け止めてくれて、自分の中で何かが変わったとおっしゃっていただけると、報われたような気持になります。そしてその安心は、いつの間にか相手への敬意へと変わっていくのです。私たちがあと20年後、30年後に、こうして新しい世界へ飛び込んで学び、素直に感動することができるだろうか。いや、今 の 時 点 で も、私たちは素直なこころを持ち続けているだろうか。自らそう問うてみると、YESと断言できない自分がいます。相手の言うことを真正面から聞き、素直に受け止め、自分で考えて、自分を変えていく。このサイクルの中の、素直に受け止めるということが年齢と共に難しくなってくるのではないでしょうか。

 

 

それでも、難しいことだとは知りつつも、いつまでも素直であり続けたいと願います。素直な心は若さであり、いつまでも自分が変わっていけるチャンスでもあります。同じ状況に置かれても、同じ物事を見るにしても、自分の箱の中で解釈してしまうのと、ありのままを素直に受け入れられるのとでは、人生の豊かさが何倍にも違ってくるのです。これまで湘南ケアカレッジでたくさんの生徒さんたちが変わってゆく姿を見て、素直なこころこそが豊かさの源泉であると教えてもらいました。自分で考えて、行動するのはそれからでいいのです。