教育はエネルギーの交換でつくる

教育とはエネルギーの交換だと思います。教える側と教わる側の、もっと分かりやすく言えば、先生方と生徒さんたちのエネルギーの交換です。ここで言うエネルギーは、気持ちや熱意、やる気、情熱などという言葉と言い換えることもできます。先生方が発したエネルギーに対して生徒さんたちが反応をする、また生徒さんたちが放ったエネルギーに対して先生方が応じる。その双方向のやり取りの繰り返しの中で、生徒さんだけではなく先生方もお互いに成長していくのです。

 

素晴らしい授業をつくるのは、先生方だけではなく、生徒さんたちの力も必要になるのはそういう意味です。私たちが発したエネルギーを、生徒さんたちが受け止め、何らかの形で返してくれることで、それに対して私たちはもっと大きくエネルギーを返そうと思えます。生徒さんたちが反応をしてくれると、私たちも気持ちが高まるのです。私たちが素晴らしい授業をするから素晴らしい授業になるのではなく、生徒さんたちも一緒に素晴らしい授業をつくるのです。ケアカレの授業が素晴らしかったと思うならば、それは生徒さんたちも素晴らしかったということです。

 

もちろん、生徒さんたちから放たれたエネルギーに対しても、先生方は反応していかなければなりません。ここは意外と盲点になりやすいのですが、学校や先生は一方的に発信をする(良い授業をする)だけで終わりではなく、生徒さんたちからのエネルギーに対してどう返していくかが問われているのです。言っていることは正しいし、良い授業をしているにもかかわらず、何だかつまらない、魅力的に映らない学校や先生は、このリアクションが不足しています。教えるという行為が、いつの間にか、一方通行になってしまっているのですね。

 

私は子どもの教育にたずさわっていた時期があり、特に子どもたちはエネルギーの交換に対して敏感に反応します。頑張って宿題をやってきたのに認めてもらえないと、次からはやってこなくなります。やってきたことだけを認めると、次はやってくるだけになります(笑)。満点を取ったのにスルーしてしまうと、二度と満点を取ろうとしなくなります。勇気を出して質問してくれた子どもに、「いい質問だね。ありがとう」と返すと、また質問してくれるようになります。を自分が使った机の上を綺麗にしてから帰る姿を褒めると、その素敵な習慣は定着します。

 

 

ここで大切なことは、その発せられたエネルギーに対して、それと同じかそれ以上の大きさのエネルギーを返すということです。生徒さんの発したエネルギーよりも、小さいエネルギーしか返すことができなければ、エネルギーは次第に小さくなってきます。より大きく返すことができれば、相手もそれに反応して、エネルギーはどんどん大きくなるのです。知りたい、学びたいといったエネルギーの交換の場が学校であり、そこで先生方と生徒さんたちが共につくり上げるのが教育なのだと思います。