雨が降っても

4月だというのに雨ばかり降って、桜の花が散ってしまうではないかと余計な心配までしたくなる、梅雨のような天気が続きました。雨が降るとふと思い出すのは、ある先輩経営者であり上司でもあった方の「雨が降ったのもすべて自分の責任だと思いなさい」という言葉です。雨が降ったことまで自分の責任だと思えというのは、ずいぶん理不尽だなあと最初は思ったものですが、最近は少しずつ真意が理解できるようになってきました。雨が降ったことを嘆くのではなく、まずは自分ごととして捉え、それならばどうするのかと考えるべきだという意味に解釈しています。同じ現象を見ても、受け取り方の違いで、ただの内輪の愚痴になってしまうか、それとも誰かのための行動になるのか分かれるということですね。

 

雨といえば、佐々木先生が湘南ケアカレッジに来る日は雨や雪が降ることで有名です。なぜか不思議と佐々木先生が初日を受け持つ、実務者研修や介護福祉士筆記試験対策講座は雨が降ります。佐々木先生の素晴らしいところは、それをご自身でもネタにしつつ、介護福祉士筆記試験対策講座の生徒さんに対しては、「私が初日を受け持って、雨が降ったときのクラスで受験された生徒さんたちは皆さん合格していますからご安心ください」と言えるところです。雨だから嫌ですねと言ってしまうと、生徒さんまでどんよりしてしまいますが、同じ雨を合格の雨に変えてしまうことができるのですね。

 

湘南ケアカレッジは今年で5年目を迎えますが、順調に来たように見えて、実は決して平坦であったわけではありません。1年目と2年目は順調すぎるぐらい順調にスタートすることができ、正直に言うと、このままずっとこの順調さが続くのだと考えていました。ところが、3年目を迎えたあたりから、景気の波の大きな変化や競合校の動き等によって、これまでのように生徒さんが集まらなくなってしまいました。これは日本全国の学校で同じことが起きていたのですが、湘南ケアカレッジにもその影響が及んだということです。ケアカレはそういう外的環境要因によって左右されないと勝手に考えていたのですが、社会全体の動きや流れには完全に抗うことはできなかったのです。

 

このとき、「雨が降ったのもすべて自分の責任だと思いなさい」という冒頭の言葉は私の支えになりました。世の中の景気の動向や他校の動きは自分たちでコントロールできないものであり、それに文句を言ったりしてみても何も変わらない。それならば、今の状況でどのようにしたらもっと良くなるかを考え、行動していくべきだと思わせてもらったのです。新しい事業をつくろうとしたり、外に出て行って人に会ったり、その中で湘南ケアカレッジのことを知ってもらい、つながりをつくって学校に来てもらう。ほとんどは上手く行きませんでしたが、地域に深く根を張ることは大切だと知りました。

 

 

また、他校が「◇月◇日までの○○キャンペーン!△△万円が今なら□万円!」とやっている中で、ケアカレは一度も見かけだけの安売りはしませんでした(実際にこの手のキャンペーンをやっていた大手の学校は景品表示法違反で処罰されました)。どれだけ苦しくても、不誠実なことやかっこ悪いことはやらないという開校当初からの理念を貫けたのは、今から思い返しても良かったと心から思います。これから先、10年後も、そして100年後も、「雨が降ったのもすべて自分の責任だと思いなさい」という言葉を胸に、前向きに誠実に学校づくりとしていきたいと思います。