どう考え、何を伝えるか

6月短期クラスが修了しました。湘南ケアカレッジが始まって以来、最も人数の少ないクラスであったにもかかわらず、ひとり一人がとっても個性的で、人数の少なさを感じさせませんでした。たとえ人数が多くても、私たちはひとり一人の生徒さんたちをしっかりと見ていますが、人数が少なければその分、ひとり一人の個性が際立って見えてくるのは確かなようです。「みっちりと実技の練習ができて良かった」とおっしゃってくださる生徒さんが多かったです。そう、本当にみっちりと練習ができたのです。そう考えると、少人数のクラスで良かったと思うことができますね。同じものごとや状況でも、どう考えるかで、私たちの世界は全く違うものになってしまうのです。

 

私たちは今までのクラスをずっと見てきて、今回のクラスは人数が多い少ないと、数字や見た目で判断することができます。経験や知識があるからこそ、今までに比べて人数が少ないと分かり、少ないことで盛り上がらなかったり、人と人がつながらなかったりしないだろうかと心配をしてしまう。そこには多い方が良いという思い込みがあったり(もちろん学校としてはたくさんの人たちに来てもらいたいと願っていますが)、いつもと違うことで不安を抱いたり、勝手にやりにくさを感じたりするかもしれません。でも今回初めて湘南ケアカレッジに来てくださった6月短期クラスの生徒さんたちには、これが当たり前なんですよね。当たり前というか、これぐらいの人数であることに何ら不思議を感じない、ニュートラルな気持ちです。思い込みも偏見もない状態ということでしょうか。

 

ということは、経験や知識のある人たちが、どのような情報を伝えるかによって、状況は変わってくるということです。たとえば、今回のクラスでいえば、「人数が少ないから、盛り上がらないかもしれないし、人と人のつながりも薄いかもしれません」と伝えると、生徒さんたちはそのように考え、人数の少ないクラスをそのように見るようになるはずです。その逆に、「人数が少ないから、他のクラスよりもみっちりと練習できるし、人とのつながりも密になるかもしれません」と伝えると、生徒さんたちはそのように考えてくれるようになるかもしれません。つまり、知識や経験のある人たちが、これからの人たちに対し、何をどのように伝えるかは、同じものごとや状況に対する見方を180度変えてしまい、自分たちを取り巻く世界さえも変えてしまうということです。

 

 

どのように伝えるかは、私たちがどのように考えるかということでもあります。たとえば、人数が少ないという状況を、みっちりと練習できる良い機会だと見ることができれば、そのように伝えることができます。伝える側は、視点のスイッチを切り替えることができなければいけないのです。自分が見たことや感じたことをそのまま伝えるのではなく、様々な視点から考えてみて、その中から相手にとって最善の見え方を伝えるということです。人数が少ないクラスというテーマだけで大げさに書いてしまいましたが、私たちが物ごとや状況をどう見て、何を他者に伝えるかによって、少しずつですが大きく世界は変わってくることを心に留めておきたいと思います。