出会いはセレンデピュティ

「介護仕事百景」を少しずつ卒業生さんたちに送っています。これまでは一斉に郵送していましたが、さすがに卒業生が2500名を超えてくると、なかなかまとめて送ることができなくなってきました。もしかすると、同じクラスメイトさんであっても、届くのに時差があったりするかもしれませんがご容赦ください。これまでにキーホルダーやコンセプトマガジンなどをお届けしてきましたが、こうした贈りもの(送りもの)をすると、それをきっかけとして卒業生さんたちが教室に遊びにきてくれたり、電話をしてくれたりするのが楽しみで仕方ありません。

 

今回の「介護仕事百景」は、介護の仕事に関する内容でしたので、ちょうど介護の仕事を始めようかと思っていたので話を聞きたい(聞いてもらいたい)、というご連絡が多かったです。これまで全く違う仕事をしてきたけど、湘南ケアカレッジで介護職員初任者研修の資格を取ったことで、この機会に介護の世界にチャレンジしてみたいと思っている。でも、これまでにしてきた仕事に対する愛情やあきらめが複雑に交錯しつつ、新しい世界に踏み入れる困難を思うと期待よりも不安が先に立つ。その気持ちは楽観的な私でもよく分かります。

 

私は20代の前半を仕事探しに費やしてしまいました。厳密に言うと、最初に就いた仕事は1年で辞めてしまい、その後はアルバイトをしながら過ごし、ふとしたきっかけで大手の介護スクールに入れてもらいました。自分のやりたいことと世の中にある仕事が結びつかず、自分に何ができるのか、自分はどのような仕事がしたいのかさえ分からず、いつも悶々としていました。今から思えば、答えなどなかったのですが、その当時はない答えを求めて延々と探し続けていたのでした。誰にも言えませんでしたが、自分が役立たずの烙印を押されているようで、苦しい日々でした。

 

だからこそ、卒業生さんの話を聞いてゆくと、まるで自分のことのように感じてしまい、職場(仕事)選びで失敗してほしくない、うまく行ってほしいと心から願うようになります。そうして親身に思うことはとても大切なことですが、少し冷静になって考えてみると、あまり完璧を求めすぎるとかえって良くないかもしれないとも思います。人と仕事の完璧なマッチングなんて、自分のことを振り返ってみても、ほぼありえないからです。そういう考えは傲慢だと思いますし、完璧を求めれば求めるほど視野が狭くなり、完璧から遠ざかってしまう気がします。

 

 

たぶん出会いはセレンデピュティなのです。卒業生さんたちがケアカレに相談しにきてくれたこともひとつの縁であり、私たちはその信頼やつながりを頼りに、できる限りの情報を提供し、可能性を広げることを心がければ良いのです。そこから先を決めるのは卒業生さんであり、さらにその先を広げてゆくのも卒業生さん。私たちは最終的にはその方の運と縁と生命力を信じるしかありません。