信頼関係の大切さ

2017年度の第4回全身性障害者ガイドヘルパー養成研修が終わりました。今回もそうですが、12月の次回もすでに満席となっており、安定して人気の高い研修に育ちました。できる限り実践に近い研修内容はもとより、ほぼ1日中、屋外で行われるため、小野寺先生の統率力の高さとサポートの阿波加先生と橘川先生のきめ細かさが見事に生き、まだ受けていない方はぜひ受けてもらいたいと願う研修になりました。もちろん先生方には感謝しつつ、毎回無事に戻ってきてくださる生徒さんたちにも感謝の気持ちで一杯です。一昨年から始めたこの全身性障害者ガイドヘルパー養成研修から学んだのは、信頼することと信頼関係の大切さです。

 

今回のクラスの生徒さんの中でも、「後ろから車いすを押してもらって、ガイドヘルパーとの信頼関係が大切だと分かった」という主旨の感想を書いてくださった人が何名かいました。芹が谷公園で行われる午前中の練習もそうですが、特にペアを決めて各々が行きたい場所へ外出してもらう午後の自由行動においては、ガイドヘルパー役の相手を信頼できていないと怖いのです。せっかくの外出にもかかわらず、楽しめないばかりか、恐怖を感じてしまっては意味がありません。行きたい場所へ行くという願いを叶えるためにも、外出を心から楽しんでもらうためにも、ガイドヘルパーさんは利用者にまずは信頼してもらうことから始めなければならないのです。

 

実は、湘南ケアカレッジのガイドヘルパー養成研修自体が、学校と生徒さんたちの間の信頼関係によって成り立っています。毎回、研修の最後にお伝えしているように、午後のペアで目的地を決めて、自由行動をして帰ってきてもらうという授業形態を採っているのは、おそらく日本でもケアカレだけだと思います。他の学校もできるならばそうしたい(そうすべき)だと思っているかもしれませんが、やはり危険やリスクを考えると、学校としては無難な集団行動にせざるをえません。ケアカレは危険を承知でリスクをとっているのではなく(最初はそうでしたが)、生徒さんたち(のほとんどが卒業生)を信頼しているからこそできたのです。

 

 

そう考えると、何をするにしても、信頼関係がいかに大切か分かりますね。さらに言うと、一方的な信頼ではなく、お互いに信頼し合うことが大切です。利用者さんはガイドヘルパーさんを信頼し、生徒さんたちも学校を信頼してこそ、全てが上手く行くのだと思います。そして、信頼関係を築くためには、まずは相手に寄って(沿って)信頼することから始め、それと同時に、笑顔で誠実に敬意をもって接し、相手に信頼してもらえるように努める。時には信頼を失ってしまったり、不信に陥ってしまうこともあるかもしれませんが、それはそれで仕方なく、またつくり直していけばよいのです。難しく考えることはないのです。

☆生徒さんたちの声

・再びケアカレッジに来て、利用者目線のケアの大切さを再認識し、その方法を学ぶことができて良かったです。仕事に対するモチベーションを上げることができました。今すぐにガイドヘルパーの仕事ができなくても今日学んだことを今の現場で活かせてより質の高いケアを心がけるぞ!(小瀬川さん)

 

・今回の研修で、街の人ごみの危険さ、不便さも感じましたが、親切な方も大勢いる事が気づけました。普段よりも段差やエレベーターの有無を注意しました。利用者と介護者とのコミュニケーションも大切で、信頼関係を築けたらとても楽しい外出になり、やりたい仕事だと強く思いました。(伊藤さん)

 

・利用者さんの気持ちを知ったつもりでいたことに気づかされました。外で体験する時間が長いかなと最初は思っていましたが、実際に体験しなくては分からなかったし体験する事の大事さを教えていただきました。とても貴重な事で受けて良かったと思えました。(柗坂さん)

 

 

・再びのケアカレッジ。先生方の熱意が伝わり、活気ある有意義な時間を過ごすことが出来ました。ガイドヘルパーの重要性と気遣いの仕事である事を教えていただきました。少しでも利用者様のお役に立てる様に、さらに練習をしたり生涯現役でいられるよう頑張りたいと思います。楽しい一日でした。(村井さん)・たくさん学ぶことや考えさせられました。改めて、また向きあいたいと思います。笑顔ですね。先生方には、ありがとうございました。(奥津さん)

 

・車いすに乗り又、押してみる。安全の為の技術と集中力が必要。生活の場は危険がかなりある。障害者に優しい、心がけが大事だと感じました。(坂元さん)

 

・視点が低くなり見えなくなったものもあり、また見えるようになったものもあり面白かったです。周りの視線も善意や悪意などもあり自分はどう見ていたか?を考えさせられました。ありがとうございました。(佐藤さん)

 

・実際に車いすに乗り、人ごみの中を移動した時に介護者に絶対的な信頼を寄せていないと利用者さんが不安になるという事を体感しました。健常者の時には気付かなかったバリアフリーの意味を初めて実感し、いかに障害のある方にとって不便なのか勉強になりました。充実してました。(今井さん)

 

・車いすを押すことがこんなにも体力を使い、注意力がいることだと知りました。汗だくでコースをまわりましたが、それだけやってようやく少し感覚がつかめた気がします。車いすで講演や街を長時間移動することで、障害をもった方の気持ちが分かった気がしたので、とても良かったです!(中沢さん)

 

・障害者という立場で、車いすに乗り町田や相模大野の街を移動しました。デパートやレストランなどもすべてがバリアフリーではありませんでした。普段はなにげなく歩いている道も車いすだと行き止まりになっており、ガイドヘルパーをする場合、場所の下調べが必要だと思いました。(小田さん)

 

・目線の違いでキケンな所や場所、身体に感じる苦痛など勉強しました。相手の身になって目になったり気持ちを理解してあげる上から目線の同情などなく、介助してあげられるようになりたいです。(山本さん)

 

・利用者側の立場で車いすに座る事などなかったのでとてもいい体験をさせてもらいました。思いのほか、外の路面の振動を感じたことや、意外とEVの身体用ボタンが押しづらい位置にあったりドアの開閉なども介助者なしでは開けにくいことなど。数をあげればかなりたくさんありました。人の目線もすごく感じました。反面、人の優しさも感じる場面もありました。気温の差も座っていると、暑く、又寒い時は逆に寒く感じるであろうと体調を気にかけながら注意していかないければと思いました。(佐々木さん)

 

・車いすに乗って街へ出てみて、初めて利用者の気持ちを感じました。いつも快適に乗っているわけではないし、介護者へ気を使っているのだと思いました。また一般の方の視線も感じました。気持ちよく外出するためには日本全体の意識を変えていかなくてはならないのだと思いました。(岡部さん)