笑顔が見ていたい

湘南ケアカレッジも今年で5年目に入りました。第1期生の卒業生さんたちが3年間の現場経験を経て、実務者研修に来てくださるようになり、あっと言う間に歳月が流れているのを実感しています。ケアカレが誕生したあのときと、変わらない気持ちで今もいるつもりですが、やはり5年も経てば、良い意味でも悪い意味でも、変わったところもあるでしょうし、慣れてきたところもあるはずです。そんなときは、「世界観が変わる福祉教育を」というケアカレの理念を思い出し、自分たちは生徒さんたちの世界観が変わるような福祉教育を提供できているのか、と自問することにしています。私たちの存在意義は、資格を売ることではなく、ケアカレでしか体験できない最高の福祉教育を届けることにあるのです。

 

そうして自問する中で、なぜ私は福祉教育が好きと感じたのだろうと振り返ってみると、そこに生徒さんたちの笑顔があったからだと思います。私はとりたてて学校というものが好きだったわけではありませんが、こうして教育の仕事をずっと続けているのは、学びの空間が好きだからだと思います。教えたり教わったりしながら、知らなかったことや新しいことを学び、自分たちの世界が広がってゆく。そのような場所が好きなのです。その中でもとりわけ介護・福祉の教育を最終的に選んだのは、そこで学んでいる人たちが、自らの意思で、本当に楽しそうに、笑顔で学んでいるからでした。

 

もちろん、子どもの教育(塾)にも良いことはありました。子どもたちはとても敏感で、素直で、柔軟であり、未来を担ってゆく彼ら彼女らと接することには大きな責任を感じました。それでも今の日本の教育の仕組みの中では、子どもたちが心から楽しんで学ぶことは難しいのも実情です。子どもの教育は、結局のところ、受験(合格)や就職がゴールとなってしまい、彼ら彼女らの多くは自分でお金を払って自らの意思で学ぶことを選択していません。どれだけ楽しい授業をこころがけても、もし明日来なくてもいいよと言われたら、子どもたちは教室には来ないのです。今の子どもたちの教育において、笑顔が少ないのは当然のことだと思います。

 

 

そういう教育しか知らなかった私にとって、介護・福祉教育と出会ったときの衝撃は大きかったことを覚えています。自分もホームヘルパー2級の研修を受けさせてもらい、その楽しさを体感しました。クラスメイトにはあらゆる世代の人たちがいて、女性も男性も皆そろって心優しく、自らの意思を持って、笑顔で学んでいました。あれだけ窮屈で嫌で仕方なかった学校が、クラスメイトや先生方、学ぶ内容が違うとここまで楽しいのかと驚かされたものです。この原体験があるからこそ、私は生徒さんたちの楽しく学ぶ気持ちがよく分かります。これから先もずっと、「世界観が変わる福祉教育を」提供できているのか、そこに笑顔はあるのか、常に問うていきたいと思います。私は先生方や生徒さんたちが笑顔でいることが、何よりも嬉しいのです。