基本姿勢の大切さ

同行援護従業者養成研修の初日が行われました。湘南ケアカレッジで同行援護従業者養成研修を始めて第3回目になります。第1回、2回と行ってみて、良かったところはそのまま残しつつ、分かりにくかったことは改善して、少しずつ完成形に近づいていくのが第3回目です。こんなことを言うと、最初の頃に来てくれた卒業生さんたちに怒られてしまうかもしれませんが、決してこれまでが悪かったということではありません。たとえば、ミュージシャンのファーストアルバムが最も良かったりすることもあるのは、少しぐらい不器用で未完成なところがあっても、熱い想いが込められているからでしょうか。研修の第3回は、先生方の熱い想いも残しながら、内容が切り上がってゆくタイミングです。

今回は生徒さんの人数が奇数だったこともあり、実技演習に入ったところから、私も練習相手役として参加させてもらいました。私としては、第3者的に外から授業を見るのではなく、生徒さんと全く同じ目線で授業を受けるチャンスでもあります。同行援護従業者養成研修を受けるのは初めてなので、もちろん生徒さんたちと同じような初心(うぶ)な気持ちで学ばせてもらいました。

 

まずは基本姿勢から。同行援護従業者(視覚障害者のガイドヘルパー)として、最も大切な技術は基本姿勢です。ガイドヘルパーは利用者さんの半歩前に立ち、利用者さんはガイドヘルパーの肘あたりを軽く握るようにして歩きます。このとき大切なことは、ガイドヘルパーと利用者さんの体は同じ方向を向きつつ、平行であることです。そのために、ガイドヘルパーは脇をしっかりと締めなければいけません(千種先生は脇の下に100万円を挟んでいるつもりで!と教えます)。平行でなくなってしまうことで、ガイドヘルパーと利用者の進む方向が一致せず、コントロールを失ってしまうからです。

 

ガイドヘルパー役が左手で利用者役の左手を下から取り、相手の左手お親指と人差し指の間に自分の右手のくるぶしを通しながら下げ、半歩前に踏み出した右足を軸にくるっと回転します。自分の右肩越しに、相手の右足元が少し見えるぐらいが理想的です。自分ではきちんと利用者さんの半歩前に平行に立てているつもりでも、先生に外からチェックしてもらうと肩が傾いていたり、利用者さんとの距離が近すぎたりします。そこを修正してもらうと、美しい基本姿勢ができあがります。

 

 

ガイドヘルパーが美しい姿勢であるかどうかは、見たらすぐ分かるそうです。基本姿勢をきちんと教えてもらっていない、または身に付いていないガイドヘルパーは脇が開いているため、ガイドヘルパーと利用者さんの方向が一致しておらず、フラフラ歩いてしまいます。そうなると危険ですし、利用者さんは不安になりますね。美しいということは、安全ということなのです。その他、階段昇降やまたぎ、椅子の座り方なども練習し、実際にガイドヘルパー役と利用者さん役をやってみて、身体で学べただけではなく、この研修の専門性の高さと先生方の授業の素晴らしさを改めて知ることができました。目を輝かせて学び、笑顔で帰っていった生徒さんたちの気持ちがよく分かりました。