べきを拡げるべき

11月短期クラスが終了しました。これで96期生になります。今までのクラスの中で最も人数が少なかったにもかかわらず、下の事務所にも笑い声が響いてきて、30名ぐらいいるのではないかと思わせられる、賑やかで楽しいクラスでした。たくさんの生徒さんがいて、楽しんで学ぼうという活気があふれているのがケアカレらしさではありますが、人数が少なくても一人ひとりが前向きに取り組んでくれたら、少人数だからこその結びつきが生まれるということを教えてもらった気がします。生徒さんたちから御礼の菓子折りをいただき、私たちは最終日にひと足早いクリスマスプレゼントを贈りました。

ちょうどこのクラスが行われている期間中に、卒業生が運営している事業所で社内研修を行いました。今回のテーマは「アンガーマネジメント」。アンガーは怒り、マネジメントは管理という意味です。そのまま自分の怒りという感情をどうのようにして管理するかという研修です。医療や看護の分野だけではなく、対人援助職である介護の分野でも、これからますます必要とされる内容であり、少しずつ有名な研修になってきていますね。

 

基本的な部分だけを受けてみて、最初に驚かされたのは、アンガーマネジメントとは「怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようにすること」だということです。アンガーマネジメント研修を受ける前は、どのようにして怒りという感情を引き起こさないようにするのか、またそれを表に出さないように抑えることができるのかがアンガーマネジメントだと考えていました。ところがそうではなく、怒るべきことは怒って良いのだということです。ただし上手に。あとから後悔するような怒りはよろしくないということですね。

 

 

もうひとつ、思考のコントロールについても学びがありました。自分のべきを拡げる、というアンガーマネジメントの思考があります。どういうことかというと、私たちは常に自分の考えを持っていて(それはそれで良いのですが)、どうしても自分と同じ考えであれば共感するけれど、自分と違う考えについては、ぎりぎり許容できたり、または許容できなかったりするはずです。円グラフを見てもらうとイメージしやすいのですが、怒りという感情が沸き起こるのは、自分とは違って許容できないゾーンに相手がいるときです。簡単に言うと、自分がこうあるべきという幅が小さいと、許容できる幅が狭ければ、怒りは生じやすいのです。

自分ごととして考えてみると、私たち教育にたずさわる人たちは、とかく自分のべきが狭かったりしますが、それを押し広げていく努力や意識が必要だということです。自分のべきは他の人から見れば全くべきではないこともありますし、時代が変わればべきは異なるのです。自分のべきや許容できる範囲を拡げるためには、まずは自分のべきを一度疑ってみて、他人の立場を経験してみたり、また本を読んだりして様々な人々の意見を取り入れて教養を深めることだと思います。そうすることで懐の深い教育者になれるはずですし、そのような教育者がいる学校になりたいと願います。