笑顔が見たい

今年最後の11月短期クラスは、ひとりもお休みや振替をすることなく、皆が無事に修了することができました。これはとても珍しいことであり、それだけ今回のクラスの生徒さん同士のつながりや、皆と一緒に学びたい、卒業したいという気持ちが強かったからこそだと思います。これまでの介護職員初任者研修の中でも最も少ない人数でしたが、今年最後をこのような素敵なクラスで終えられたことを嬉しく思います。良かったことがある反面、介護教育の業界には大きな転換点が訪れようとしていることを感じさせるクラスでもありました。

湘南ケアカレッジが開校した当時と比べても、介護の学校が増えたことも大きいのですが、ここ数年において、介護の学校の人材紹介会社化という流れが顕著になってきました。つまり、介護の学校はあくまで入口であり、ただ同然で生徒さんを集めつつ、人材紹介を出口として利益を出すモデルが主流になったということです。ちょっと嫌な言い方をすると、学校の皮をかぶった人材会社ということです。

 

それの何が問題かというと、教育の中身がないということです。「生徒さんは製品として出荷する」と言ってはばからない学校もあるぐらいです。人材会社が悪いわけでは決してなく、学校が教育としての目的を失ってしまい、ビジョンを掲げられなくなってしまうと、そこには教育がなくなってしまうということです。そこで教える先生方のプライドやモチベーションも地に落ちてしまうかもしれません。ひとつのサービスとして、学校が職業紹介を行うのはありだと思いますが、その逆転が起こってしまっているのが問題なのです。介護教育の敗北ということであり、長い目で見ると、自分たちの首を自分たちで絞める行為です。

 

できる限りはその流れに抵抗しようと数年間頑張ってきましたが、そろそろ湘南ケアカレッジにとっても潮目なのだと思います。入口の介護職員初任者研修を無料や安価で行う学校が多く出てきている現状の中、消費者がどうしても安きに流れてしまうのは仕方ないことです。私たちは介護教育に誇りを持って提供してきましたが、学校に来て受けてもらわないと意味がありません。伝える相手がいなければ届かないということです。教育への感謝としての対価をいただけないのは本意ではありませんが、まずは生徒さんに来てもらえないとスタートラインにさえ立てませんよね。

 

 

生徒さんと先生方の笑顔が見たいと思って、私は介護の学校を始めました。その気持ちに変わりはありませんし、そのためにも「世界観が変わる福祉教育を」提供していきたいと思います。ただ世の中は大きく変わり、素晴らしい介護の教育だけで食べていける時代は終わったということです。どのようにすれば教育のクオリティを保ちつつ学校として存続していけるのか、また教育の力を復活させる方法やアイデアはないのか、まだ結論は見えていませんが、試行錯誤していきたいと思います。とにかく来年は苦しくも楽しい1年になりそうです。