良きリーダーシップは良きフォロワーシップから

ケアカレナイトが始まりました。ケアカレナイトは、卒業生さんから言われた、あるひと言がきっかけとなっています。その方はケアカレで行っている全ての研修に参加して学び、晴れて介護福祉士に合格しましたが、合格祝賀会で「これで終わりになってしまうのは寂しい。この先もケアカレに来て学べる機会があると嬉しいです」とおっしゃってくれました。その言葉を聞いて、全ての研修を受け終えた後も、介護福祉士に合格した後でも、卒業生さんたちがケアカレに戻って来て、学ぶ機会を作りたいと思いました。教室の空いている夜の時間帯に開催し、介護・福祉について学ぶだけではなく、集まってくれた人々がつながっていく場所になれば嬉しいなと、実はもうかれこれ2年ほど前から考えていたのです。

 

せっかく来ていただくからには、素晴らしい集まりにしたいですし、1回きりで終わってしまうのではなく続けていかなければいけません。いろいろな面を考慮すると実現は難しいなと思っていたところ、ケアカレにゆかりのある施設・事業所様がスポンサーとしてサポートしてくださることでようやく実現する運びとなりました。今回の講座がこれだけの受講料で受けられるのも、懇親会で美味しい軽食が食べられるのも、協賛施設・事業所が支えてくれるおかげです。この場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 

スポンサーとはいえ、もちろん一人の参加者として、卒業生の皆さまと一緒に講座を受けていただき、グループワークや懇親会にも参加してもらいました。ケアカレナイトは職種や立場、性別、年齢などを超えたフラットな場にしたいのです。施設長や経営者、管理者の方々がケアカレの教室に来て、普通に講座を受けてくれて、最初は馴染めるのかなと心配していましたが、彼らの姿を見て驚きました。大げさでもなく、持ち上げるわけでもなく、他の誰よりも彼らが熱心に頷きながら、メモを取り、身を乗り出すようにして聞いていたのです。グループワークでは率先して意見を言い、他の参加者の話に相づちを打ち、なるべく全員が意見を言えるように導いていました。

 

良きリーダーシップは良きフォロワーシップから、という言葉を思い出しました。素晴らしいリーダーは、立場や場所が変われば、良きフォロワーになれるということです。彼らは天下りや同族経営の施設長・管理者ではなく、何十年も現場で様々な経験を積み、理不尽に耐え、無理な要求や批判を乗り越えながらも自分を磨き、他者から評価されて施設長や管理者になった叩き上げの人たちです。その過程の中で、良きフォロワーであることを学んだのでしょう。良き小説家は良き読者であり、良き音楽家は良きリスナーでもあるように、良きフォロワーだからこそ、良きリーダーになれる。リーダーシップとフォロワーシップは正反対のものと考えられがちですが、そうではなく、実はつながっている。自分はこうしたい、こう思うと主張するばかりがリーダーシップではないのです。

 

彼らの立派な姿を見て、私は彼らのように振舞えるだろうかと自問しました。エゴを捨てて、自分よりも年下の講師の話を素直に聞き、学ぶべきことを学ぶ。他者の多様性を受け入れ、その場に溶け込み、誰彼なく分け隔てなく接し、状況によっては盛り上げ役にも徹する。私のような小さな器の人間では、彼らのようには謙虚になれないのではと思ったとき、心の底から尊敬の念が湧いてきました。彼らのようなリーダーを持つ施設・事業所は、本当に素晴らしい介護を提供しているのだと思うのです。正吉苑の折原さん、ウェルフェアリビングの戸部さん、千手の岡本さんと鳥居さん、そしてスタッフの方々、ありがとうございました。

 

 

藤田先生のアンガーマネジメント講座に関しては次の機会に書きますが、本当に素晴らしかったです。参加してくださった卒業生さんたちや先生方、いろいろとお手伝いしてくださってありがとうございました。こんなに素晴らしき人たちがいる介護業界は捨てたものじゃない、これから先がもっと楽しみだなと感じ、ケアカレナイトもそのような場になれたらと願います。

正吉苑様よりお祝いのお花をいただきました。こうしたちょっとした心遣いも素敵です。