アンガーマネジメント講座が終わりました

ケアカレナイトの第1回は、藤田先生によるアンガーマネジメント講座でした。ケアカレナイトの記念すべき最初の講座を決めるにあたって、藤田先生にお願いすることに迷いはありませんでしたが、その内容にはありました。こういうこともああゆうことも教えたいと藤田先生から提案されている中から、どの内容が初回に相応しいのか、迷いに迷ったのです。その結果、藤田先生がかねてより熱望していたアンガーマネジメント講座に決めたのですが、正直に言って、介護の世界においてアンガーマネジメントはまだ知られていないのではと考えていたのです。ところが、いざ募集を開始してみると、「アンガーマネジメントを学びたかった」という声が殺到しました。藤田先生の人気もあったと思いますが、アンガーマネジメントにも大きな需要があり、すぐに追加講座を開くことができました。

 

参加しそびれてしまった方のために、講座の内容をコンパクトにお伝えすると、まずアンガーマネジメントとは、「怒る必要のあることには上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようになる」ことです。そうすることで、怒ったあとで自分が後悔することがなくなり、また他人を傷つけたり、物を壊したりすることなく怒りを表現できるようになります。怒りとは、誰にでも備わっている感情であり、身を守るための生存本能です。そして、アンガーマネジメントのポイントとなるのは、怒りは第2次感情であることを知っておくことです。

 

第2次感情とは、第1次感情があってその次に湧きあがってくる感情と考えてもらうと分かりやすいかもしれません。いきなり最初に怒りという感情が芽生えるのではなく、その前に悔しいとか悲しい、つらい、苦しい、せつないという第1次感情があるのです。怒りという第2次感情ばかりに注目してしまうと、なぜ怒っている人は怒っているのかを見落としてしまうことになります。怒っているから怒っているのではなく、その内側には別の感情があるからこそ怒っているのです。その第1次感情を想像してみることが、アンガーマネジメントの第1歩になります。

 

たとえば、自分が怒りの感情を覚えたとき、怒りという表面的な感情ではなく、自らの1次感情を探ってみることです。なぜ私は怒っているのか、その原因となっている感情は何か?それができるようになると、怒っている他人の第1次感情にも目を向けられるようになります。そうすることで怒っている他者への理解は深まり、共感しやすくなるはずです。「なんで怒っているのですか?」ではなく、「つらいですよね」という声掛けに変わるかもしれません。

 

自分の思考のコントロールをすることも大切です。それぞれの人には、自分なりの「べき」があり、それが狭すぎると、自分の「べき」の中に当てはまらない全ての人やことに怒りの感情を抱いてしまいます。怒る必要のないことを怒らないようにするためには、自分の「べき」の範囲を広げていくべきです。それは他者理解にもつながりますし、自分の「べき」と相手の「べき」は異なることを学ぶことになるのです。

 

 

個人的に今回新しく勉強になったなと思うのは、アンガーマネジメントにおける自分や他者の第一感情を探る(想像する)ことは、私たちが良く言われる「共感的理解」ということにかなり近いということです。相手に共感して理解すると言葉で言うのは簡単ですが、実際にどうすれば共感的理解なのかと疑問に思う方も多いはずです。そのひとつの答えや手法が、相手の第一感情を探る(想像する)ということなのではないでしょうか。なぜあのような言動を取ってしまうのか、その本質を理解するためには、他者がどのような事実の元にどのような一次感情を抱いたのかを考えるべきなのです。そのためには、まず自分の一次感情を見つめなおし、知っておくべきなのだと思います。藤田先生、参加者それぞれが自分と向き合って、内省するような授業をしてくださって、ありがとうございます!