世界が広がる

湘南ケアカレッジの100期生でもある4月短期クラスが無事に修了しました。平成に始まり令和に終わるという、時代をまたいだ珍しいクラスでもあります。男女問わず様々な年代の生徒さんたちが集まり、そこに4月から介護の世界に入ってきてくれた新卒の生徒さんが加わり、ケラケラと笑い声の絶えない、活気のある雰囲気でした。実は研修が始まる前に、新卒の生徒さんたちを依頼してくださった訪問介護事業所の方から、「自分の事業所の仲間だけではなく、他の生徒さんたちとも関わりを持って学んでもらいたい。そうすることで彼ら彼女たちの世界が広がると思うから」という旨の希望を聞きました。私は「そうなると良いですね。研修の内容だけではなく、先生や周りのクラスメイトとの関わりも大切な学びになると思います」とお答えしました。

介護職員初任者研修の素晴らしさは、研修の内容だけではなく、共に学ぶクラスメイトとの関係性にもあります。他の講座や研修、たとえばネイル講座であれば、20代から30代の女性がほとんどを占め、あまり多様性のないクラスメイトになるはずです。しかし、介護職員初任者研修は10代から80代までの自分とは違う年代や性別の人たち、さらに言うと、全く違う背景や経歴、考え方、生き方の人たちと一緒に、ゼロから学んでいくことになります。大切なのは、違いを知ることだけではなく、それでも共通する何かがあることを知ることです。同じことに共感できたり、同じような優しい心を持っていたり、同じ方向を目指していたりする、多様性のある仲間を見つけることです。

 

私が昔、ホームヘルパー2級を受けたときも、クラスメイトと仲良くなって、その後しばらく一緒に遊んだりした記憶があります。ひとりは息子さんがバンドをやっていて、近く深夜の番組の主題歌に採用されたと喜んでいた4050代の女性、ひとりは子どもが生まれたばかりで育児をしているという30代の男性、そして花や盆栽の仕入れを自営業として行っている20代の女性など。私は学校の社員ということもあり、あまり深入りすることがためらわれたのと、今のようにLINEのような連絡ツールが普及していなかったこともあり、少しずつ疎遠になってしまいましたが、とても貴重な関わりでした。

 

 

介護について学びに来る人たちは、皆良い人たちばかりで、個人的にも波長が合って好きという感覚は、クラスメイトたちとの交流を通して得たものでもあると思います。もし最初の介護職員初任者研修で残念な体験をしてしまったとすれば、介護の世界に対してネガティブなイメージを抱いてしまっていたかもしれません。そうならなかったのは幸運ですし、それぐらいに介護職員初任者研修で出会う先生やクラスメイトの存在は影響力があるのです。自分とは全く異なる背景や経歴、考え方、生き方の仲間たちと一緒にひと時を過ごしたことで、彼ら彼女たちの世界は間違いなく広がったはずですし、介護の世界のことが好きになってくれたのではないかと勝手に想像しています。

 

100期生の皆さまから、100にちなんだ百人一首と日めくりカレンダーをいただきました。百人一首を並べてみると、「湘南ケアカレッジさん、楽しい時間をありがとう」と書いてあり、日めくりカレンダーには1日ごとに卒業生さんからのメッセージが入っていました。100期生を超えて、色紙、ボード、エプロンに続く、新しいタイプの誕生ですね(笑)。ありがとうございました!