ポールウォーキングのすすめ

「明日、シバヒロ(町田にある芝生の広場)でやるので、来てください!」と卒業生に誘われて、ポールウォーキングの体験会に参加してきました。ポールウォーキングというと、高齢者がたしなむものというイメージが正直ありましたが、実際に体験してみて、私の認識が誤っていたことに気づかされました。これは若い人たちにとっても良いエクササイズになるし、もちろん高齢の方にとっては最高のリハビリであり、介護予防であり、エンターテインメントであり、生きがいや喜びになるのではないかと感じました。晴天の下で歩くこと以上の幸せが、人間にとってあるのでしょうか。

 

当日は快晴であり、待ち合わせ場所に行くと、すでに20名近くの人たちがすでに集まっていました。もしかすると私が最年少ではないかという集いは久しぶり。ケアカレの卒業生でもあるポールウォーキングのコーチから、ポールと呼ばれる長い棒を渡されました。身長に合わせて長さを変えることができます。杖の高さよりも高い、前へならえをしたとき(肘が90度)の手の高さまで伸ばします。グリップの外にある輪っかのようなものに、親指以外の4指を入れ、軽く握るような感じで良いそうです。

そうこうしていると、実際のウオーキング体験が始まりました。最初はポールウォーキングのフォームから教えてくれます。効果的に歩くためのポイントは以下の3つ。

 

1、遠くを見る

2、普段歩くよりも半歩広く

3、ポールは振り出した足(かかと)の横につく

 

 

高齢になると、どうしても歩幅が狭くなり、身体は小さくまとまって、足元ばかりを見て歩きがちですが、ポールウォーキングはその真逆です。遠くを見て歩くと、視野が広がって、今までには見えていなかった美しい景色が目に入ります。しかも車や他の歩行者の動きも早めに察知できるので安全です。遠くを見ることで、背筋が伸び、姿勢がぐっと良くなります。半歩広く歩くためには、身体全体を大きく使い、かかとから着地してつま先へと重心を移動させる正しい歩き方をしなければいけません。

ポールウォーキングをやってみて感じたのは、ポールを持つことで、上半身も使って歩けるということです。正しい姿勢で歩くことを意識すると、普段は当たり前でしかなかった歩くという行為が、心地よいものに変わってくるから不思議です。歩くことが億劫になり、少なくなった高齢の方にとっては、ポールウォーキングはより大きな価値を持つのではないかと思います。

 

 

しかもポールウォーキングはただ歩くだけではありません。途中に柔軟体操や軽い筋力アップのトレーニングも入ってきます。メリハリをつける効果もありますし、身体を休ませたり、鍛えたり、柔らかくしたりするサイクルが上手に回っています。トータルで1時間半ぐらいの体験でしたが、まだ若い(と自称している)私でも、全身に心地よい疲労感があったほどですから、高齢の方にとってはかなりの良い運動になるはずです。介護予防の分野でも、リハビリの分野でも、かなりの効果を発揮するのではないでしょうか。

私が参加したのは初めての方向けの体験会でしたが、隣では経験者の方たちもバリエーションに富んだ練習や体操をしていて、楽しそうでした。経験者のひとりに聞いてみたところ、「ポールウォーキングを始めたことで、いろいろな方とどこかに出かけて、話しながら歩くことが楽しくなりました。こういうところに参加する人たちは気持ちが前向きですから、そういう人たちの人生を聞くのは面白いです」、「他の方と一緒に歩いて話しをすることで、私も刺激を受けますし、悩みを聞いてもらうと自分なんて大したことないなと思えたりします」、「もう普通に歩くことはできませんよ。ポールを持って歩くと楽しく歩けますから」などの声が聞けました。

 

 

今回はたまたまシバヒロで開催しましたが、いつもは鶴川・三輪緑山地区で活動しているそうです。鶴見川遊歩道や、三輪緑山などの、自然豊かで静かな場所を歩くとリラックスできますね。ちなみに、歩く歩数やきっちりと歩く時間によって、うつ病や認知症、心臓病、動脈硬化、骨粗しょう症、高血圧、糖尿病などの病気の予防や改善が期待できるという研究結果が出ています。運動することは心と身体の健康に直接つながるのです。しかも外の空気を吸って歩くというごく自然な行動を通して、その人の人生が良い方向へ変わって開けていくのですから、高齢者以外の方にも体験して、ポールウォーキングのあらゆる効果や副効果を感じてもらいたいと思いました。