日常生活を取り戻そう

湘南ケアカレッジは、5月7日より研修を再開させてもらいました。開催してほしいという生徒さんや施設・事業所からのニーズが強かったこと、そして町田という地域や感染者数の推移を踏まえて安全であると判断したからこその再開です。今回、5月の再開前に話をさせてもらう中で、ほとんどの先生方が「せっかく授業をするからには、しっかりと学んでもらいたい」と言ってくださって嬉しかったです。

 

全くグループワークをしない、人と接する実技は避ける(デモンストレーションのみ)という対応を取る学校もある中で、授業をやるからには(感染症対策をしながら)学ぶべきことは学んでほしいと先生方も想ってくれていることに救いを感じました。何もせずに現場に出たときに困るのは生徒さんであり、実際の現場では人と接しないわけにはいかないですものね。

 

湘南ケアカレッジは資格を売る学校ではなく、介護・福祉教育を提供する学校ですので、教えるべきことを教えないのは自分で自分を否定することになってしまいます。研修を行う以上は、湘南ケアカレッジに来て良かったと思ってもらえる授業を提供したいと考えています。

 

さて、ここからが本題ですが、緊急事態宣言が解除されたのちは、できるだけ早く日常生活を取り戻していかなければいけません。不安や心配もありますし、人によってその程度は異なるのもたしかですが、過度に恐れることなく、今までどおりの普通の暮らしを送ろうとする意識が大切だと思うのです。若い人たちからで良いと思います。普通に仕事をして、普通にご飯を食べて、普通に余暇を楽しみ、普通に会話をする。

 

なぜかというと、私たちが全体として怖がりすぎてしまうことで、社会が委縮し、それが回り回って身近な人たちを苦しめることにつながるからです。介護や医療の仕事自体はなくなることはありませんが、それ以外の仕事はどうでしょうか。肉体としての死は免れたとしても、経済的な死や社会的な死もあるはずです。

 

第2波は、実は経済的な波なのではないかと考えています。東日本大震災のときに、地震そのものよりも、あとからやって来た津波の方が被害は大きかったように、新型コロナウイルスよりも経済的な停滞もしくは不況の方が恐ろしいかもしれません。大きな波であればあるほど、時間差があってやってくるものですし、長きにわたって社会を飲み込むからです。

 

私の義弟(妹の夫)が六本木に日本料理屋を2年前にオープンしましたが、ここ数カ月、お客さんはほとんどいない状況であり、いつまでこの状況が続くのか、客足が戻ってくるのはいつになるのか分からないそうです。彼は20年にわたる厳しい修行期間を経て、勇気を持って自分のお店をオープンし、最高の日本料理を提供してきたのを知っているだけに残念でなりません。

 

 

私たち一人ひとりがゼロリスクを求めすぎて、社会全体としての空気がそうなった場合に、それは巡り巡って、(幸いにして自分の仕事がなくならなかったとしても)身近な人たちの首を締めてしまうことになりかねないのです。緩んでいると言われて自粛警察に批判されるかもしれませんが(笑)、日常生活を取り戻そうとすることは周りの人たちを助けることにもなるのです。