ひとり一人と話したい

2人の卒業生さんが教室に遊びにきてくれました。遊びになんていうと今の状況では語弊があるかもしれませんので、話しに来てくれました。おふたりは介護職員初任者研修のクラスこそ違いましたが、実務者研修で知り合い、介護福祉士筆記試験対策講座を一緒に受け、見事に合格して、介護福祉士になった報告を兼ねて来てくださいました。ケアカレも今年で8年目を迎え、卒業生さんも3000名を超えると、昔の生徒さんと最近の生徒さんの時間差が分からなくなっていきます。今回足を運んでくださったひとりは何と6年前、もうひとりは5年前の卒業生さんでした。もうそんなに時間が経ったのだという驚きと、それでも変わらないお二人の人柄と私たちの関係性に安心もしました。

 

Mさんはデイサービスを経て、7月から老健で働くことになったそうです。「だんだんと大変な仕事を選んでいるのは分かっているのですが」という言葉に、介護福祉士になって、ステップアップしたいという気持ちが伝わってきました。彼女の素晴らしい人間性があれば、どこに行っても仕事にも馴染んで、周りの人々に良い影響を与える介護福祉士になってくれるはずです。介護福祉士というのは知識、技術を持った国家資格保持者ということだけではなく、介護の仕事において関わる人たちにとって、模範というか素敵だなと思われる存在でなければならないと思います。とても難しいことですが、専門性と人間性を両方とも高めなければならないのです。

 

もうひとりのMさん(どちらもMさんでした!)は、今取り組んでいる訪問介護が合っているそうです。かつて施設で働いていたときは、次から次へと作業に追われてしまい、どうしても利用者さんとゆっくり話す時間が取れなかったのが心苦しかったけれど、訪問介護はやるべきことをきっちり終わらせれば、その後、利用者さんと少しでも話せる時間がつくれるのが良いとのこと。利用者さんもMさんと話す時間を楽しみにしてくれているそうです。そういう意味で、自分の裁量が大きいのが訪問介護の良さですが、中には自分のやりたいようにやったり、やらなかったり、時には自分が母親のようになって利用者さんを支配してしまったりと歯止めが利かなくなるのも訪問介護の怖さでもありますね。自分の介護を客観的に見ることができないといけないということです。

 

 

コロナ禍におけるデイサービスや訪問介護の実態やお子さんの学校の問題、介護福祉士試験のことなど、話題は尽きず、気がつくと随分と長く話してしまいました。やはりこうして卒業生さんたちと、学校を一旦離れて、ひとりの人間同士として話ができると楽しいなと素直に思います。介護の仕事にたずさわる人々は、皆優しくて、人のためにという献身的なところがあり、気持ちが良い人ばかりです。学校や研修という枠の中だけでは知り得なかった人柄や人間性に触れることは、この仕事をやっていて良かったと思える瞬間でもあります。そして、3000名を超える卒業生さん一人ひとりと、このような時間を過ごすことができたら、私の人生はもっと豊かになるのになと心から思うのです。まずは話しをすることから始めようと思います。