長く続く付き合いを

「細くでも良いので、長くつながってくれると嬉しいです」

 

クラスの打ち上げなどで何かコメントを求められたとき、生徒さんたちに向かって私はそう伝えていました。太くても短く終わってしまう付き合いよりも、細くても長く続いてくれるそれの方が学校としては嬉しいと素直に思ったからです。その想いは今でも変わりませんが、つながりの質というのは、介護職員初任者研修と実務者研修では少し違うことが分かってきました。小野寺先生も指摘されていたとおり、初任者研修は太く短くなりがちで、実務者研修は細く長くなる可能性を秘めているということです。


私たちからすると、介護職員初任者研修は研修期間が15日間あることも手伝って、クラスメイトは仲良くなりますし、終わり頃には研修が終わってほしくないと言う生徒さんも出てくるほどです。しかし終わらない研修はありません。卒業してしまうと、それぞれは新しい道に進むことになります。介護の現場に飛び込む人もいれば、家族の介護に戻る人もいる。身に付けた介護の知識を生かせるような周辺産業に携わる人も出てくれば、全く関係ない仕事に就く人もいるはずです。悪く言うとバラバラになってしまうのです。そうすると、介護・福祉に対する興味にも濃淡が出てきて、気持ちが離れてしまう人もいて、次第に疎遠になってしまう。そうではなく単純に互いの近況報告を楽しみに会うようなクラスもありますが、多くの卒業生さんたちのつながりは先細りしてしまうのが実状でしょう。それはそれで仕方ないことですし、いつかまた再会する日が来るかもしれませんし、楽しかった学びの思い出がそれぞれの中で生き続けてくれたら良いと思います。

 

それに対し、実務者研修はわずか7日間と短いため、仲良くなる前に終わってしまう印象があり、私たちにとってもその点は不完全燃焼である感は否めません。実務者研修の生徒さん同士が、初任者研修の生徒さんたちのように、もっと仲良くなれたらと試行錯誤していますが、15日間と7日間という接触頻度の違いはどうしようもないのです。それでも7日間できることをしようと思ってやってきました。

 

ところが、実務者研修は盛り上がる前に終わってしまい、つながりは個別の細いものになりがちだけど、意外と長く続くのではと最近思うようになりました。それは何人かの実務者研修の卒業生さんたちから、「実務者研修で知り合った人といまだにLINEしたりしています」、「相談したり、情報を共有したり、お互いの職場の愚痴を言い合ったりしています(笑)」などと聞くことが多く、私の実感よりもつながりは続いている現実があることが分かってきたからです。実務者研修の卒業生は、そのほとんどが介護の現場で働いているため、置かれている状況や立場、興味の対象が同じだからです。分かりやすく言うと、話が合うということです。そうなのです、私が思っていたよりも、実務者研修の卒業生たちもつながっていたのです。

 

 

介護職員初任者研修と実務者研修のどちらが良いということではなく、つながり方の種類が異なるということです。もちろん、どちらの研修も太く長く続いてくれたら最高ですよ。そのためには、介護職員初任者研修が修了したあと、介護の現場で長く働いてくれる人が増えたら良いですし、実務者研修では研修内でひとりでも多くの生徒さんたちが個人的につがってくれる雰囲気をつくったり、工夫をすることが大切ですね。