国際福祉機器展2021

11月10日~12日の間に東京ビッグサイトにて開催された、国際福祉機器展に行ってきました。最初の頃は新橋駅からゆりかもめに乗ってたどり着いていましたが、ここ最近は町田から新宿→大崎、そしてりんかい線で東京テレポート駅というルートが確立されましたので、わずか1時間弱で行けるようになり、ずいぶん近くなったような感覚があります。さらに一昨年までのお祭りのような賑わいではなく、感染症対策の名の下、ブースとブースの間にスペースがありゆったりとしており、入場人数も1日1万数千人程度と、個人的にはちょうど良いサイズと人数のイベントになったと思います。見たい福祉機器はしっかりと見て、担当者に質問することもできます。今年いくつかの他の福祉機器のイベントにも参加しましたが、真剣に福祉機器について学びたい、知りたいという方にとって、国際福祉機器展は最適でありお勧めします。

行きたくても行けなかったという方のために、私が見てきたものをざっと紹介していきますね。まずは入浴関連の「はねあげくん」です。これは入浴の際、またぐときの支えにボードとして使えるのはもちろんとして、座面をはねあげることができるため、入浴介助がやりやすく、利用者さんはボードを外すことなく座位での入浴が可能になる優れものです。ちょっとした工夫ですが便利ですよね。

こちらはシャワーチェアになります。いくつかのメーカーが協働して制作したそうです。椅子の上の部分(シャワーアーム)からお湯が噴き出す仕組みになっており、通常のシャワーチェアに座って上からシャワーを浴びるよりも、利用者さんの保温効果が高いとのことです。利用者さんの身体の近くから広範囲にお湯をかけることができるので、たとえわずかな時間であっても、身体が芯まで温まるそうです。

他のメーカーにも、同じような入浴機器がありました。さきほどのシャワーチェアよりも、より密封度が高いため保温力も高いのですが、場所を取るので在宅向きではありませんね。

次に、面白いと思ったのは、「らくらくテーブル」という福祉機器です。介護用の昇降テーブルということで、見て分かるように、テーブルの高さを自由自在に調整することができます。しっかりロックすることができるので、安全性も高いです。利用者さんの体格によって最適なテーブルの高さに調整できますね。ちょうどこの前、「塗り絵をしている利用者さんの机の高さが合っていないのか、腰が痛いとおっしゃっているのですよね」と相談された卒業生さんがいましたので、まさにこのテーブルを勧めたいです。おやつを食べるときは低くても良いけれど、塗り絵などの作業をするときは高くしたいというように、同じ利用者さんであっても状況によって高さを変えることができます。

続いて、こちらは口腔ケア関連の光る歯みがきです。利用者さんのお口の中を明るく照らすことができるため、歯みがきがしやすく磨き残しもなく、口腔の状態も把握しやすいですね。

さらにベッド関連としては、こちらの立ち上がりまで可能なベッドが快適でした。ソファに心地よく座っている状態から、そのまま寝ることができますし、その逆も然りです。車いすからベッドに移乗する必要がないため、利用者さんの介護度によっては重用されそうな福祉機器です。

YOCARO」という在宅介護用電動ベッドの特徴は、ベッドの高さを78cmまで上げることができます。通常ですと50~60cmぐらいのベッドがほとんどですが、78cmぐらいまで上がると男性も屈むことなく介助することができます。男性が腰を痛めてしまう原因のひとつは背が高いことすので、これだけベッドの座面を上げることができれば、腰を痛めなくて済むかもしれません。また、言葉で伝えるのが難しいのですが、背上げをする際に、背面がそのまま上がるのではなく、湾曲しながら上がるため、背圧や身体のズレが少なくて済みます。介護職員初任者研修や実務者研修の授業でも体験してもらっている背上げの苦しさを覚えている生徒さんは納得だと思いますが、最初からベッドに心地よい背上げの機能が備わっているのは素晴らしいですね。

まさにこれから帰ろうとしているとき、卒業生のご家族とばったり会えたことは嬉しかったです。ご家族で国際福祉機器展に来るなんて感心しますし、やはり実際に自分たちの目で見てみて、「こういうのあったら便利だよね」、「でも実際に導入するとなると、今の家の導線だと厳しいかも」とか、意見やアイデアを出し合うこともできます。これまではできないと思っていたことが、道具を上手に使うことで、もしかするとできるようになるかもしれないとポジティヴに考えることができれば良いですね。人間は道具を使うことで霊長類最強の座に登り詰めましたので、道具を工夫して使うことは人間らしい行為であるとも言えるのではないでしょうか。また来年も来たいと思います。