当たり前のことを当たり前に

先月、修了した介護職員初任者研修の2つのクラスで打ち上げが行われ、どちらにも参加させていただきました。クラスメイトたちと喜びを共有したい、親交を深めたいという雰囲気がクラス全体にあるからこそ、「打ち上げをしよう!」となるのでしょうし、ようやく私たちの意識がコロナ騒動から少しずつ解放されつつあるのかもしれません。いずれにしても、当たり前の日常に戻っていくのは素晴らしいことですし、こうして教室の外で卒業生さんたちから生の声を聞く機会が戻ってきたことは嬉しい限りです。

 

 

打ち上げの席にて、「毎日、授業が始まる前と終わったあとに挨拶してくれて、それだけで良い学校なのだと思った」と話してくれた卒業生さんがいました。良いところを見つけて、褒めてくれて嬉しかったのですが、私としてはもうかれこれ10年間、こうして挨拶をしてきましたので、当たり前というか日常になっていて、そういう風に見てくれている生徒さんもいるのだと新鮮な気持ちになりました。彼女は他の学校にも見学に行ったことがあり、その上で湘南ケアカレッジに来てくださったのですが、「ケアカレを選んで良かったと思います」とおっしゃってくれました。

誰かにとっての当たり前は、誰かにとっては当たり前ではないという話で思い出したのは、先日、北海道に訪れた行きつけのラーメン屋のことです。ここの味噌ラーメンはいつ食べても美味しく、聞くところによると、毎日、必ず店長さんが汁の味付けを確認してから出しているそうです。私の友人はもう子どもの頃からこのラーメン屋に通っており、昔は瘦せていたというその店長は、今見るとものすごくお腹が出ていました。推定100kg。ラーメンを毎日食べるのは体に良くないのだと思いつつ(笑)、30年間、1日も休むことなく自分で味見をしてラーメンを出し続けてきたからこそ、いつでも美味しい人気のラーメン屋になったのであり、私もこうして通ってしまうのだと感心しました。

なぜ毎日授業が始まる前と終わったあとに生徒さんたちの顔を見て挨拶をするのか、と改めて考えてみると、まずは自分がそうしたいからであり、それぐらいしか私にできることがないからです。いざ授業が始まってしまうと、先生方にお任せする以上、私が直接生徒さんたちに関わることはできません。私が接することができるのは、授業の前後のわずかな時間ということです。その中でできるのは、挨拶をしながらも生徒さんたちの人柄や状態を知ることでしょうか。今日は元気がなさそうだなとか、授業が楽しかったのか良い顔して帰って行ったなとか、現場の空気感を少しでも味わいたいのです。

 

 

もちろん、先生方や生徒さんと話すのが楽しいのが第一です。三幸福祉カレッジにいた頃は、1~2教室を担当していたときは生徒さんや先生方と話ができて楽しかったのですが、複数の教室や支社全体を管理するようになってからは、生徒さんたちは教室を通り過ぎていくだけの存在であり、先生方が増えるに従って話す機会も少なくなりました。介護の世界で活躍してきた先生方はもちろん、介護の世界に入ろうと思っている生徒さんたちも心優しく、素敵な人たちばかりです。ひとり一人と直接関わりたいから、私は湘南ケアカレッジを立ち上げて、教室を拡大することなく、毎朝夕立ち続けてきたのだと思います。これからもたくさんの生徒さんたちと出会えることを楽しみにしています。