なぜオンラインにしないのか?

先月、職業紹介責任者の講習をオンラインで受けました。今回は5年前に取得したものの更新となります。オンラインとオフライン(通学)がありましたが、丸1日の講習であったこともあり、朝から通学するよりは、ケアカレで生徒さんたちを朝出迎えてからでも受講できるオンライン講習の方を選びました。6時間のオンライン講習は初めてであり、ひとつの経験としても受けてみようと思ったのです。

受けてみた感想としては、時間の無駄だったという想いしかありません(笑)。普段も大して時間を有効に使って生きているわけではないのですが、興味のない内容に関しての動画をパソコンの画面で見させられることは拷問のようでした。見終わったあと、何とも言いがたい徒労感と、少し大げさかもしれませんが、人生の時間を奪われた怒りに近い感情さえ抱きました。受講料(1万円)以上に、時間を無駄に費やしたことの悔しさが大きかったです。お金だけ払うから、中身のない研修を受けさせて体面だけを保つのはやめてほしいと思いました。

 

私が抱いたこの感情や気持ちは、ほとんど全てのオンライン研修に通ずると思います。オンライン研修に関しては、遠隔地や違う国々の人たちが一堂に会せるという利点を除けば、デメリットばかりです。まず、zoomなどはオンライン会議用であり、研修には向いていません。さらに言うと、私がそうであったように、オンラインの研修に参加する人たちは最初からモチベーションが低い状態です。好きなことや興味あることなら、できるだけ現地に行って生で雰囲気を味わいたいと思うはずです。興味がない、できることなら受けたくないからこそ、オンラインで済まそうとするのです。オンラインで研修を開催すると、そういうモチベーションのない人を集めてしまうことになります。

 

モチベーションがないからこそ、講師(伝える側)の言っていることも右から左へと聞き流しますし(どうやって内職をするかばかり考えています)、素直に聞くことができません(むしろ反発したくなります)。そして、オンラインではどうしても一方的に講師が発信することになるため、講師と生徒の関係性をつくるのは難しくなります。関係は良くなることはなく、時間が経つにつれて、お前の顔なんか見たくない早く終われと思うようになります(笑)。このような状態では、どれだけ良い内容を情熱的に話しても伝わりにくいのです。

 

オンライン研修の致命的なところは、生徒さん同士のつながりが生まれないことです。ケアカレを10年以上続けてきて分かったことは、研修は横のつながりが最も大事であるということ。良い仲間に恵まれるからこそ、研修全体も楽しく思えるし、学びも大きくなるものです。学校というのは本来そういうものだったのです。学校の機能を正しい情報を伝達することだと捉えるのは大間違いです。先生方と生徒さんの関係性、そして生徒さん同士のつながりが8割で。授業の内容はあとからついてくるのです。そうした大切な出会いがない、つながりも生まれないのであれば、学校として研修を行う意味がないと言っても過言ではありません。YouTubeで検索すれば知りたいことは大体知れるはずです。そうではなく、先生方や生徒さん同士の直接的なやり取りの中にこそ、本来の学びはあるのです。

 

ということで、湘南ケアカレッジは今後もオンライン研修をすることはありません。それぐらい対面の授業にはこだわっていきますが、逆に言うと、教室に集まってもらう以上は、ケアカレに来て良かったと言ってもらえないといけません。オンラインでも良かったと思われるような授業や研修ではダメだということです。

 

そのためには、単なる情報伝達だけではなく、一人ひとりの生徒さんたちをひとりの人間として見て、人として関わることが求められます。声掛けをしたり、話を聞いたり、表彰や褒め・認めなど、対面だからこそ実際にできることです。さらには生徒さんたち同士ができるだけ多く関われるような仕組みをつくることも大切ですね。席替えやグループワークなど、私たちが良かれと思ってやってきたことは理にかなっているとも言えるでしょう。生徒さんたちが研修に満足してくれたからこそ、口コミや紹介の輪が広がってきたのです。

 

 

オンラインの講習を受けてみて、学校とはどうあるべきかを改めて学ばせてもらいました。この3年間、介護職員初任者研修も実務者研修もオンラインで行われる学校が出てきて、たしかに学校側にとっては経済的メリット(賃料がかからない、人数制限がない、電気代もかからない、などなど)はあるのですが、安きに流れずにいて良かったなと思います。学校の存在価値をお金に換えずにここまでやって来られたのは、対面の研修の良さを理解して、楽しんで教えてくださっている先生方のおかげです。ありがとうございます。