卒業生さんが突然、教室に来てくれました。しかも突然、「大学入試の論文を書こうと思っているのですが、教えてくれませんか?」と責任重大な話をします。彼女は高校3年生のときに介護職員初任者研修を受けに来てくれて、大学で栄養学を学びたいとのこと。せっかく介護について学んだのだから、介護×栄養をかけ合わせた論文を書きたいと思ったのでしょうか。
せっかく来てくれたので、彼女のブレインストーミングに付き合うぐらいはできるかもと思い、どういう話に興味があるのかを聞くことにしました。すると彼女は「現代の若者の拒食症と栄養について」と答えたので、介護とはあまり関連性を持たせにくそうだなと思いながらも、「それは面白そうだね」と話は進みました。
話は右に左にそれて、脱線しては戻ってきてを繰り返し、最終的に彼女の書きたいことが掘り起こされていきました。そのやり取りの中で、本論とはだいぶズレているのですが、若者男性の化粧の話になりました。
私の息子の友人が、最近会ったときに化粧をしていたので驚いたからです。女性の拒食症は現代の過剰なルッキズム(外見至上主義)に影響されているものであり、その風潮に男性も巻き込まれて化粧をするようになったと私は考えています。さらに言うと、少子高齢化により化粧をする人口が減り始めている時代において、化粧品会社の次なるターゲットに男性が選ばれ、マーケティングが行われていること、また一部の韓国のアイドルに端を発した女性的なビジュアルが好まれる傾向があることなども、日本人の若者男性が化粧をする理由になっていると私は考察していました。
ところが、彼女はこう言いました。「自由になったからではないですかね?」。つまり、今の時代の若者たちはより自由になり、男性でも化粧をすることが許されている、化粧をしたい男性には化粧をする自由があるということです。それは違うんじゃない、楽観的な解釈だなと思いましたが、と同時に、もしかするとそういう面もあるのかもしれないと考えました。昔は男が化粧なんて恥ずかしいと思われるので、化粧をしたくてもできなかった男性が結構多くいたのかもしれません。
うちの息子と同じぐらい年齢が離れていて、性別も違う彼女と僕にとっての世界の見え方は異なって当然であり、自分とは違った見え方を受け止めてみることで世界観が広がるチャンスが生まれるのです。特に私のように50を超えた人間は、自分が生きてきた狭い経験やそこで培った思考が全てだと思うようになりがちですが、もしかすると私は間違っているかもしれないと見直してみることが必要です。
湘南ケアカレッジも開校してから14年目に入ろうとしています。先生方のおかげで何とかここまでやって来れましたが、私自身が見えている世界と時代に少しずつズレが生まれてきているかもしれません。自分の世界観を変化させながらさらに広げていくために、他者の意見や考えに謙虚に耳を傾けつつ、心をオープンにして、世の中を見なければいけませんね。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
