開所祝い

3月1日付けで、東京都より「介護職員初任者研修」の事業者指定をいただきました。これでようやくスタートラインに立てたという思いです。力を貸してくださった皆さま、そして、力強く支えてくださった方々、ありがとうございます。これから先、世界観が変わるような最高の福祉教育を提供すべく、全力で駆け抜けていきますので、どうぞよろしくお願いします。

 

事業者指定を受けた知らせを聞いて、母が開所祝いとして造花を送ってきてくれました。開所とはいっても、実はかなり前から事務局はあったのですが、「湘南ケアカレッジ」で介護職員初任者研修が開講できるようになったという意味での開所祝いです。さっそく、受付のテーブルの上に飾ってみました。事務局には私を含め、まったく花(華)がなかったので、こうして造花を置くだけで雰囲気が変わりますね。遠くに離れて暮らしていても、東京の事務局のことまで分かってしまう。さすがです。

 

母は昨年、大きな手術をしました。ガンの疑いがあってメスを入れたのですが、結局のところ免疫性の疾患でした。転移する恐れのあるガンではなかったことが判明し、皆ひとまず安心しました。しかし、その手術の影響もあって、さすがの母も1ヶ月間食事をすることさえできず、点滴を打たれたままの入院生活をおよそ2ヶ月にわたって余儀なくされました。母はあの病床で何を想い、何を考えていたのでしょうか。私には察するに及びません。

 

いつもとは違う母の姿を見るのは、周りの家族にとっても辛いものでした。食べられない母を目の前にしたとき、どうしてあげようもないふがいなさ、自分の無力感を思い知りました。食べられるように回復するまで待つしかないと頭では分かっていても、今すぐに何かできないのかという葛藤が湧き起こります。私にできることといえば、少しでも早く回復しようと病棟の廊下を歩こうとする母の傍らで、一緒に歩くことぐらい。母が少しずつ食事を口にできるようになるのは、本当に嬉しい光景でした。

 

病気や障害や死は、その本人はもちろん、その家族や周りの人々にも深い影響を与えます。当事者になってみて、初めて思い知ることもあるのです。今、母は自宅に戻って、普通の生活を送っています。定期的な検診はあるようですが、今のところ順調とのこと。私たち人間は、造花のようにいつまでもそのままの姿ではいられませんが、だからこそ、永遠の美しさに惹かれつつ、はかなさにも美を感じることができるのでしょう。今ここに、こうして、皆と共に在ることに感謝します。