お互いを祝福したくなる瞬間

「介護職員初任者研修」の14回目には、総合生活支援技術演習が行なわれます。分かりやすく説明すると、これまでの授業で習ってきた高齢の方や障害のある方の生活を支援するための介護技術を、トータルで復習しましょうという科目です。授業の流れとしては、ひとつの事例に基づいた3つの場面おいて生活支援技術を復習したのち、3つのうちのどれか1つの場面を選定して評価を行います。評価のポイントは10項目あり、事前に皆さまにお伝えします

 

最後の修了試験と同じく、決して落とすためのテストではなく、あくまでも確認のためのテストです。ADで評価がなされますが、もし万が一、基準に満たない場合でも改めて何度でもトライすることができますし、一人残らずきちんと基準に達するように教えさせてもらうのが私たちの務めでもあります。もし生徒さんが上手くできなかったとすれば、それは生徒さんの問題ではなく(きちんと授業に取り組んでくれていればの話ですが)、教える側の力不足だと思っています。

 

そうはいっても、生徒さんたちは緊張するらしく、頭が真っ白になってしまう方もいます。それまでの練習ではできていたのに、いざ本番になったとき、次に何をすれば良いのか分からなくなり、体が固まってしまう方もいます。そういう場合は、一旦止めて、少し時間を置いてから再チャレンジしてもらうと、次は意外と簡単にできるものです。大人になってから、こういう体を動かすテストってなかなか経験しないですものね。まあ最後には皆が合格し、誰にとっても貴重な体験になりますので、ご安心ください。

 

「ペーパーテスト(修了試験)よりも難しかったかもしれない」と言った卒業生がいらっしゃいましたが、それは実技のテストが手続き記憶の一種だからでしょう。手続き記憶とは、技術や手続きなどを覚えている長期記憶のひとつです。いわゆる体が覚えているという状態で、たとえば自転車の乗り方などがそれに当たります。認知症の方でも手続き記憶は最後まで残っていると言われています。

 

本来は体で覚えて、実行する一連の手続きを、頭で覚えて、頭で考えながら動作しなければならないからです。これは実際にやってみないと分からない難しさです。

 

だからこそ、なんとか最後までやり切って、合格できると喜びが湧き上がってきます。4月短期クラス、5月短期Aクラス、そして今回の5月短期Bクラスでも、全員の合格が発表されると、歓喜の声が上がりました。もちろん、まずは自分自身の合否が心配でしょうし、それから一緒にテストに望んだペアの合否、グループの仲間の合否、そしてクラス全員の合否が気になるから。誰もが自然にお互いを祝福したくなる瞬間です。