修了証明書のつくりかた

長いようで短い15日間の研修が修了すると、私がすぐに取り掛かる仕事があります。それは修了証明書をつくること。修了試験に合格し、修了認定会議を経て、見事修了が決まった生徒さんたちに「介護職員初任者研修」の修了証明書を発行するのです。できるだけ早く、生徒さんたちの手元に届けるべくつくり始めるのですが、実は1枚1枚の修了証明書を手づくりで仕上げますので、これが意外と時間が掛かるのです。

修了証明書に湘南ケアカレッジなりのこだわりがあるのは、以前にこちらこちらに書いたとおりです。だからこその手作業になり、やりながらもっと楽にできる方法はあるのにと思いつつも、それでもひとり1人の顔を思い浮かべながら、1枚1枚をつくっていくのです。それではせっかくなので、修了証明書がつくられる過程をお見せしていきましょう。

まずは賞状版の修了証明書からつくります。文字組みのプロの方につくってもらった原型に、生徒さんの名前と修了日、そして修了番号を打ち込んで印刷します。生徒さんの名前や生年月日が間違っていると台無しなので、何度も確認しながら、1枚1枚印刷していきます。この時、漢字に気をつけなければならない御名前の生徒さんがいます。たとえば、山崎さんの「ざき」が崎なのか﨑なのか、渡辺さんの「なべ」が辺なのか邊なのか邉なのか、目をこらして見ることになります。たまにパソコンの中にない漢字の名前の生徒さんもいて、そういうときは文字をつくることになります。

次に、携帯版の修了証明書に移ります。こちらは10人分をまとめて印刷したものを切ってゆくのですが、再度、ひとり1人の名前と生年月日等をしっかりと見ながら、手入力していきます。10人分を入力し終えたら印刷、そして次の10人分を入力という流れです。この間に、ラミネーター(ラミネート加工をする機械)の電源を入れておかなければなりません。それはまるで、野球のピッチャーの肩を温めて、ウォームアップしておくような感じです。肩ができあがって、準備OKになると「ピー!」と大きな音で知らせてくれます。

ここからが職人技が問われるところです。透明のフィルムを取り出し、その間にさきほど印刷した携帯版の修了証明書をひとつずつ挟んでいきます。このときに、ラミネートに傷や穴や汚れがないかを光を当てて確認しつつ、できるだけ上下のラインが揃うように平行に入れていくのがポイントです。ちょっとでもズレてしまうと不恰好になってしまいますし、光り輝く修了証明書を届けたいと思います。それにはどうしても人間の手と目による作業が必要になってくるのです。

10年前と比べると、学校を運営する際にスタッフがやらなければならない仕事は格段に少なくなりました。パソコンやインターネットが代わりにやってくれる時代です。だからこそ、最高の授業を提供することだけに集中し、それを安心の受講料で皆さまに届けることができるようになりました。それでも、たとえ非効率に見えても、人間が心を込めて行なわなければならない仕事もあるのです。修了証明書づくりは、そのひとつだと私は思っています。