昨年の4月に湘南ケアカレッジが開校し、あっと言う間に1年半の歳月が経ってしまいました。たとえば、去年の8月生はと思いを馳せると、Sさん夫婦やMさんのことが思い出され、嗚呼、もう1年前なんだなあと実感するのです。この1年半で、良いことも悪いことも、ほとんどは良いことばかりでしたが、色々な出来事がたくさんありました。それらの楽しかった思い出と共に、少しばかりの反省も私の中にあります。顔の見える学校と言っておきながら、私は本当に生徒さんたちのことを見てきたのかなということです。
先日、昨年の9月日曜日クラスのNさんが来てくれました。「村山さん、ちょっと相談が…」とのことでしたので、一緒にランチを食べる約束をしました。彼は「今働いている整体院を9月一杯で辞めて、サバイバルゲームカフェを町田でやるんです」と言って、お店の名刺をくれました。基本的には夜のお仕事なので、昼間にはお年寄りのための便利屋をやりたいとも言っていました。お店のコンセプトにも驚いたのですが、Nさんにそんな趣味があって、そんな想いを持っていたなんて全く知りませんでした。質問や相談に応えながらも、応援したいという気持ちを伝えました。
さらに翌日、8月生のUさんが修了試験を受けて帰りました。いつもそうしているのですが、テスト終了後、「これからどうされるのですか?」と聞いてみると、近いうちに介護の仕事に就いてみたいとおっしゃってくれました。そのあとに、「実は私、作業療法士なんです」という言葉を聞き、これまた驚きました。「でもこれからは介護士の時代だと思って。リハビリの人たちは近いうちに飽和してしまうと思います。国の方向性としても、質の高い介護士を求めているのではないでしょうか」とこちらが色々と教えてもらいつつ、「毎回、こんなにもたくさんの質の良い卒業生を輩出して、大きな社会貢献ですね」と褒めてもいただきました(笑)。
その同日、たまには違った場所で仕事をしようと思い、相模大野駅中のカフェでキーボードを打っていると、「村山さん!」と声を掛けてくれた男性がいました。これまた8月生のNさんでした。彼はずっと相模大野の実家に住んでいて、10月頃には結婚して世田谷に引っ越すかもしれませんとのこと。介護の雑誌を作ろうと思っているんですと打ち明けると、「実は僕、ずっと写真をやっているんです」と言って、撮りためた写真を見せてくれました。それはそれは素晴らしい写真で、驚かされました。プロと比較しても遜色ない腕前でした。彼とは2時間近く話し、いつかカメラマンとしてお願いするかもしれませんと言って別れました。
その帰り道に、私はそれぞれの生徒さんのことを本当には知っていないのかもしれないと思い、深く反省しました。表面的には知っているつもりでも、彼ら彼女らの背景を何一つ知っていない。それでは右から左へと人とお金が流れる他の学校と同じではないのか。もちろん、全ての生徒さんの全ての人生を知ることなんて不可能ですが、そのほんの一部でも、知ろうとしていただろうか。これは私がかつて携わっていた塾でも同じように感じたことでした。ほんの一部であっても、知っているだけで、彼ら彼女らが立体的に見え、心が通い合い、そして私たちの仕事が輝き始めます。教育とは人と人との関わり合い以外の何ものでもないからです。
過去最高の大満足率(今年の6月生95%)を更新しました!