「ハートネットTV」

NHKEテレで放映されている「ハートネットTV」の番組「君と歩む道―シングルファーザーと自閉症児の20年―」を観ました。卒業生さんからのお勧めでしたが、「ハートネットTV」(月~木の夜8時~)や「バリバラ」(金の夜9時~)は私自身が好きなので、ぜひこの機会に紹介させていただきたいと思います。「ハートネットTV」は介護だけではなく、医療や福祉、社会問題等も扱っており、その取材の綿密さや、押しつけがましさのない報道姿勢は素晴らしいのひと言。どの番組を観ても、豊かな感性や明るい未来が溢れてくるように感じられます。番組を見逃してしまったという方のためには、翌週の月~木の昼1時5分から再放送がありますので、ぜひご覧になってみてください。

 

今回の番組「君と歩む道―シングルファーザーと自閉症児の20年―」も5年半に及ぶ取材があったそうです。川崎市幸区に住む新保浩さんの息子である綾麻(りょうま)さんは自閉症を患っており、自分の想いを言葉にできず、ときにパニックを起こし、自傷行為を繰り返してきました。寄り添い、共に悩みながらも、浩さんは男手ひとつで育て、ようやく綾麻さんは20歳の誕生日を迎えるまでに成長しました。綾麻さんと向き合う日々の中で、父親である浩さんは、自分の価値観が大きく変わり、そして人生にとって何が大切なのか教わってきたと言います(それが何かと言わないところがまた素晴らしいと思いました)。

 

ちなみに、自閉症とは脳の特性によって起こる発達障害です。病名から一般的にイメージされている、他人に対して心を閉ざし、自分の殻に閉じこもってしまう病気ではありません。ひと昔前は、1万人に5人ぐらいしかいないと言われていましたが、最近の医学調査によると1000人に5人ぐらいとされています。

 

主な特徴としては、①言葉の発達の遅れ、②コミュニケーションの障害、③対人関係・社会性の障害、④パターン化した行動やこだわり、があります。発達障害の中でも、注意欠陥多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群、学習障害(LD)と異なる特性がありつつ、重なっている部分もあります。


出典、参考情報:発達障害情報・支援センター



綾麻さんもそうでしたが、急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると、不安になり動けなくなることがあります。自分の考えていることや思っていることを言葉にするのが難しく、コミュニケーション上でも障害があり、こだわりも強すぎたりするため、対人関係や社会に入っていくのが難しかったりもします。反面、よく知っている場所では一生懸命、活動に取り組むこともできます。

 

父親である浩さんが綾麻さんと向き合ってきた姿を目の当たりにして、私も同じようにできるのだろうか、私だったら同じようにしていただろか、という問いが胸に去来しました。番組が終わってから、息子と一緒に風呂に入りながら、私もそうするはずだ、そうでありたいと願いました。だって、自分の子どもはやはり可愛い。子どもは自分の鏡であり、自分の子どもが可愛いのは自分が可愛いと同義であり、たとえどんな病気を持って生まれてきたとしても、自分が可愛いことには変わりはありません。

 

それでも、突き詰めてゆくと、やはり子どもは自分ではなく、別々の人間でもあります。親ができるのはわずかなこと。自分の想い通りにしてくれないときにイライラするのは、子どもは自分ではない他者であることを実感します。自分であり、また自分ではない。それが子どもなのです。もしかすると、綾麻さんが自閉症であったがゆえに、浩さんはより彼、そして自らと向き合うことができたのかもしれない。そう考えると羨ましくもあります。


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「君と歩む道―シングルファーザーと自閉症児の20年―」の再放送は10月28日(火)午後1時5分~です。