まとめノート

「介護職員初任者研修」には修了試験があります。最終日に、筆記テストにて行われます。今となっては当たり前になりましたが、ホームヘルパー2級から介護職員初任者研修に移り変わったときには、テストを課すなんて考えられないという意見もあり、またテストを受けずに済むからといった理由で、ホームヘルパー2級を急いで取る人が多く、駆け込み需要なんてものもありました。あれからおよそ2年間、介護職員初任者研修を行ってきて、修了試験ができて良かったなと今ではつくづく思うのです。それは修了者の質が担保できるという意味ではなく、修了試験があることで、ひとり1人が集中して取り組んでくれるため、全体として質の高い研修になるということです。


昨年の12月短期クラスは、とても熱心な生徒さんが多いクラスでした。先生方の言うことを一字一句聞き逃さないぞという気迫さえ感じましたし、グループワークを行って、それぞれのグループから発表される意見もかなりレベルが高かったです。たとえば、食事の介助の授業において、利用者にとって、そして介護者にとっても、介助しやすい方法や場所等を考えてみるというテーマに対して、発表された意見の数々には思わず唸らされてしまうものもありました。レベルが高いというと語弊があるかもしれませんので、よく考えられていて、本質的であったということです。

 

そんな熱心なクラスを引っ張ってくれた、ひとりの男性の生徒さんが持っていたノートを見せてもらいました。表紙には「初任者研修まとめノート」とタイトルが記してあります。ただのノートではなく、まとめノートです。授業中に学んだことは別のノートにメモしておいて、テキストや通信添削課題集に出てきたことも加えて、それらをさらにテストに向けてまとめたものです。お願いして、ちょっとだけ中身を見せてもらったのですが、とても綺麗にまとまっていて、これ1冊を見返すだけで、安心して修了試験に臨めそうです。他の生徒さんも同じように、まとめノートをつくっている方もいました。

 

これだけ聞くと、彼ら彼女らが特別に熱心なんだと勘違いされてしまいそうですが、そうではなくて、学ぶことが楽しいのです。よく生徒さんたちから、「初めて学ぶことが楽しいと思えました」、「大人になってからの勉強は楽しいですね」、「学生生活に戻ったみたいで楽しかった」という声をいただきます。小さい頃はあれだけ嫌だった勉強もテストも、大人になって、自らの意志で学びたいと思ったときには、楽しく感じるのだから不思議です。モノやエンターテイメントが溢れる時代において、私たちの本当の喜びや楽しみは、学ぶことになるのではないかと思います。